魔導機大全ドルドゲルス帝国編2

☆ドルドゲルス十六人衆


 ドルドゲルスを守護するべく有力な武人などから選抜された者達の伝統ある称号。長らく形骸化しており空位も多かったが、現皇帝――実情としてはハインリッヒ――の意向により、現在(※第一話開始時点)では充足し精力的に活動している。


 魔導機の普及と共にドルドゲルスにおけるエース魔導機乗りの称号と同一視されている面があるが、本来は同一の文化背景を持ちながらも長らく一つの国にまとまらず、中小国家が乱立していたドルドン諸国統一の志をもって初代ドルドゲルス国王が結成した集団である。


 クリストハルトやヴィムなど貴族出身の者が中心だが、コリンナやデニスの様にハインリッヒから才能を見出された者などその構成は多彩であり、ブルーノにいたってはドルドゲルス出身ではない。



☆PMZM-06-10〈クラーケカスタム〉


 十六人衆ヴァルター・ミュラー専用機。試作型〈クラーケ〉を流用した機体で、五対十本の腕からアンカーを放ち、敵機の拘束を行う。


 本来〈クラーケ〉という名称はヴァルター専用機に与えられたものであったが、彼にあやかって量産型も同名称となり、区別する意味でこちらはカスタムとなった。


 搭乗者のヴァルターは爵位持ちの貴族で領地が海に面しているため海戦に明るいが、当人自体は海賊の真似事よりも正々堂々とした騎士の戦いが好み。得意属性は風属性の電系で、序列は第十。



☆MZ-02-02〈アイデクセ〉


 十六人衆マリウス・ベルツ専用機。MZ-02〈ドンナー〉をベースに、指揮能力の強化と火力の充実を図っており、前線での指揮を想定したカスタマイズとなっている。


 改装の結果、飛行能力を含めて第五世代相当の機体となった。機体名はトカゲを意味する。


 搭乗者であるマリウスは伯爵でありヴァルターの友人。協調性の低い十六人衆の中では例外的に指揮能力が高い。得意属性は火で、序列は第二。



☆MZ-05-05〈シュトラオス〉


 十六人衆ユルゲン・タールベルク専用機。MZ-05〈ブリッツシュラーク〉をベースに、より地上戦と格闘戦に特化するように改良が加えられている。トンファーを用いた攻防一体の接近戦を得意としている。機体名はダチョウを意味する。


 搭乗者であるユルゲンはアデル家と同じく南方の地にルーツを持つ寡黙な武人。得意属性は風で、序列は第五。



☆MZ-04S-09〈フックス〉


 十六人衆マクシミリアン・マンハイム専用機。MZ-04S〈シュティルシュトルム〉をベースとした狙撃機で、長大な杖を装備する。また、数々の特殊装備を内蔵し、敵を翻弄して確実に仕留める。機体名は狐を意味する。


 搭乗者であるマクシミリアンは笑顔を絶やさぬ紳士の貴族で、領民からは非常に人気がある。得意属性は光で、序列は第九。



☆MZ-05-15〈ヴォルフ〉


 十六人衆ヴィム・シュタインドルフ専用機。MZ-05〈ブリッツシュラーク〉の正当強化といった機体で、性能強化以外では外装を騎士風にしているのが大きな変更点である。燃える炎の様なオレンジ色の機体色と長剣が特徴。機体名は狼を意味する。


 搭乗者であるヴィムは名門貴族の跡取りであり、剣の腕に覚えのある熱血漢。まだ若輩で低い序列を気にしている。得意属性は火で、序列は第十五。



☆MZ-07-12〈シュメッターリング〉


 十六人衆ヨハンナ・ピッケンハーゲン専用機。新造された軽量型フレームである07番モデルを使用している。蝶の翅の様な鮮やかな色の機体で、《七色水刃》という魔法を中心に戦うヨハンナに合わせて、無駄なものは一切そぎ落としたピーキーな機体性能。機体名は蝶。


 搭乗者であるヨハンナは芸術肌の女の子であり、その魔法の才能を見出されて十六人衆入りした。顔にフェイスペイントがあるなど派手な見た目だが案外真面目。得意属性は水で序列は第十二。

 


☆MZ-03H-13〈シュティーア〉


 十六人衆ゲルト・キルンベルガー専用機。MZ-03〈ブリッツ〉の重装型をベースに雄牛を思わせる装甲を追加し、さらに重装甲と化した機体。硬さを活かして、巨大な槌を用いての接近戦を得意とする。


 第五世代機相当の改装を加えている為、浮く程度に飛行は可能。機体名は牛を意味する。


 搭乗者であるゲルトは貴族で歴戦の武人であるが、その直情的な性格から序列が低い。得意属性は地で、序列は十三。



☆MZ-07-14〈オイレ〉


 十六人衆ツェザール・ファウルシュティヒ専用機。軽量フレームの07番モデルを限界まで軽量化し、破格の機動性能を実現している。透明なブーメラン上の物体を射出することで攻撃する。機体名はフクロウを意味する。


 搭乗者のツェザールはかなりの猫背に鷲鼻、三白眼、おまけに奇妙な笑い声をあげる怪人物だが、性格は親切でコリンナからは慕われていた。


 森に隠棲していたところをスカウトされた。得意属性は風で、序列は第十四。



☆MZ-07-11〈フレーダーマウス〉


 十六人衆デニス・プレトリウス専用機。ハインリッヒの指導により習得した忍術を操る為、ピーキーな機体性能となっている。一応隠密性、静粛性に優れるが、ド派手な機体カラーの為ほとんど意味はない。機体名はコウモリを意味する。


 搭乗者であるデニスはドルドン流忍術を使用する忍者。かつて多くの暗殺に関わり心が死んでいたところ、ハインリッヒから派手な隠密である忍者の戦い方の知識(特撮やアクション映画にちなんだもの)を学んでこうなった。以来恩人であるハインリッヒに忠義を尽くしている。得意属性は闇で、序列は第十一。



☆MZ-07N〈量産型フレーダーマウス〉


 デニス配下のドルドン忍軍に配備されている機体。原型機のピーキーさは少し抑えられ、機体カラーも暗めに抑えられている。



☆MZ-06-08〈マオヴルフ〉


 十六人衆ユリアーナ・ウルブリヒ専用機。MZM-06〈クラーケ〉をベースに地中への潜行を可能にカスタムした機体。陸上での運用を想定して四肢は〈パンター〉系列の物に換装している為、十六人衆の機体の中でも原型機からはかけ離れている部類。機体名はモグラを意味する。


 搭乗者であるユリアーナは髪型をポニーテールにしている真面目な貴族の女性。アルマ、イルマの姉妹とは性格的に折り合いが悪い。得意属性は地で、序列は第八。



☆MZ-03H-04〈アイスベーア〉


 十六人衆カスパル・イエーガー専用機。MZ-03〈ブリッツ〉の重装型ベースの機体であるが、格闘戦よりも魔法による遠距離戦を得意とする。


 重装型の装甲にあたる部分は排熱機構と防寒機構にまわされており、アイスゴーレムを多数製作して氷のフィールドを形成するバトルスタイルに対応している。機体名は白熊を意味する。


 搭乗者のカスパルは寡黙な大男。多くを語らない同士ユルゲンとは気が合った。得意属性は水属性の氷系で、序列は第四。



☆MT-01-06〈シャーフR〉


 十六人衆アルマ・ボシュナー専用機。〈パンター〉系統のパーツを流用したカスタム機で、夜間の奇襲及びかく乱を得意とする。闇魔法と〈シャーフL〉とのコンビネーションでかく乱し、そのスピードを活かした《影の槍》による一撃離脱戦法をとる。機体名は羊を意味する。


 搭乗者のアルマは双子の姉。その美貌と魔法で多くの男を手玉にとり財産を築いていたところスカウトされた。元は下層階級出身。得意属性は闇で、序列は第六。



☆MT-01-07〈シャーフL〉


 十六人衆イルマ・ボシュナー専用機。〈シャーフR〉と同仕様の機体だが、便座上〈シャーフL〉の名称を使っている。姉妹機と同じく黒地にピンクの差し色の入ったカラーリング。


 搭乗者のイルマは双子の妹。姉との見た目は区別がつかないほどそっくりだが、彼女自身は双子の姉を尊敬している。得意属性は闇で、序列は第七。



☆MZ-07-16〈カッツェ〉


 十六人衆コリンナ・ファスベンダー専用機。コリンナの地属性の植物魔法により、根や葉などの植物を操る攻撃を行う。


 魔導機操縦が本職ではない彼女の為に、他の07番系機とは違い扱いやすさを重視したカスタマイズである。しかし闘争心に乏しいコリンナ機のため、そもそも前線に出ることは少ない。機体名は猫を意味する。


 搭乗者のコリンナは気弱な性格だが毒と薬の天才で趣味はキノコ集め。名前が似ているヨハンナからは何かと気にかけられている。得意魔法は地属性の植物系で、序列は第十六。



☆MZ-05-03〈イーゲル〉


 十六人衆ブルーノ・トゥオマイネン専用機。火属性の爆発魔法が得意な操縦者に合わせて、耐火、耐爆発性能を向上させている。


 複数の武装を忍ばせており、火力、継戦能力ともに高い。着脱式の増加装甲は生残性を向上させている。機体名は針鼠を意味する。


 搭乗者のブルーノはドルドゲルス北方の国出身で世界を渡り歩く傭兵。一見気の良さそうな男に見えるが、その本性は残忍で狡猾かつ計算高い。得意魔法は火属性の爆発系で、序列は第三。



☆MZ-01-01〈ドラッヘ〉


 十六人衆クリストハルト・ベルンシュタイン専用機。第一世代の魔導機であるMZ-01〈ヴィント〉をベースとしているが、カスタマイズを重ねてきた結果、ほとんど別物となっている。


 四肢は大型の獣から採取した素材を利用した生体パーツとなっており、クリストハルトの回復魔法により再生が可能である。また専用の大剣を装備し、神速の剣技で敵を両断する。操縦者の技量もあいまって、この時代最強の機体の一機である。機体名は龍を意味する。


 搭乗者のクリストハルトは、代々多くの者が十六人衆に名を連ねるドルドゲルス随一の武人の家系出身。ベルンシュタイン家自体がドルドゲルスの守護者であるという自負がある。得意属性は光で、序列は第一。



☆MR-KAISER〈レーヴェカイザー〉


 ハインリッヒが自身の為に設計、製造した皇帝専用魔導機。


 〈リーゼ〉に匹敵する超大型魔導機で、その攻撃力、防御力は従来の魔導機を遥かにしのぐ力を持っている。〈レーヴェシュベルト〉という専用の長剣を操るほか、その巨体にロケットパンチなどあらゆる武装を搭載しており、目からは魔力ビームを発射する。


 ハインリッヒ自信は魔力器官がないため魔力を持たないが、魔力サーバーから得る膨大な魔力をもって本機を動かしている。機体カラーはヒーローロボットを思わせる赤青黄のトリコロールを中心に黄金色が輝き、胸には勇猛な獅子の顔があしらわれている。


 総じてロボットアニメ好きであるハインリッヒの全てがつぎ込まれた機体であるが、複雑な変形合体機構を取り入れようとして断念し、現在の外装を被る方式へと変更された。機体名は獅子の帝王を意味する。



☆MT-KAISER〈レーヴェルガー〉


 〈レーヴェカイザー〉の中に格納されている本体であり、ハインリッヒが言うところのコアロボット。本機は通常の魔導機と同じく十メートル級である。この状態でもかなりの戦闘能力を持つ。ドルドゲルス王宮を砲身として発動する“神を殺す魔法”の発動キーも兼ねており、機体色は金色。


 なお、ハインリッヒのこだわりなのか、まるで彫像のように口や鼻がある。飾り的なもので特に意味はない。

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