魔導機大全ドルドゲルス帝国編1

☆ドルドゲルス製魔導機


 ドルドゲルス最初の魔導機であり世界最初の魔導機でもあるMZ-01〈ヴィント〉は、ハインリッヒ・フォーダーフェルトの手によって趣味と実益を兼ねて完成された。


 魔導機は実戦で投入されて以降、赫奕たる戦果を挙げてドルドゲルスの拡大に大きく寄与し、その中で魔導機はより洗練されより高度な機能を獲得するに至った。


 ドルドゲルスでは〈ヴィント〉の流れを組む機体の他にも、局地戦用やエース用のハイエンド機など様々な機体が作成されており、その種類の豊富さは間違いなく世界一位である。また性能面でも常に最先端を走り続ける


 グッドウィン王国などの魔導機と大きく違う点は、異世界転移者であるハインリッヒの知識により初めから騎士階級よりも一般操縦士が扱う事を想定した生産性、操縦性の合理化が図られていることである。


 その為、傑作機であるMZ-03〈ブリッツ〉以降はデザイン的にこの世界の雰囲気とはやや離れた工業的デザインである。



☆MZ-01〈ヴィント〉


 第一世代機。ハインリッヒの手によって製作された最初の魔導機。令和日本の科学技術と、マギキン世界の魔法技術の融合によって生まれた。ハインリッヒが自動車関係の技術者だったため、そして彼と一緒に転移したバイクを技術的な土台にしているため、所々そういった特徴が見え隠れする。


 本機は技術の実証として少数が生産されただけにとどまり、実際の戦場で多く見かけることはなかった。機体名は風を意味し、この世界に吹く新しい風をイメージしてハインリッヒにより名付けられた。型式のMZは機械化された兵士を意味する。



☆MZ-02〈ドンナー〉


 第二世代機。ドルドゲルスが初めて戦場で大規模に運用を行った魔導機として知られるセルダルプ王国侵攻戦での活躍は、ある者には突飛な発想のゴーレムの亜種として、また一部の先見性のある者にとっては衝撃をもって受け止められた。固定武器として剣を装備し、機体名は雷を意味する。



☆MZ-03〈ブリッツ〉


 第三世代機。魔導機の名前を高めることになった傑作機。ドルドゲルスの隆盛と共にこの機体の名も広まり、警戒心を抱いたアスレス王国はこの機体のコピーである〈エクレール〉を生産した。


 この機体は〈ドンナー〉よりも実戦に耐えうるよう各部パーツの合理化が行われ、騎士というより兵器然としたフォルムである。機体名は稲妻を意味する。



☆MZ-04〈シュトルム〉


 第四世代機。〈ブリッツ〉よりもさらに生産性と整備性の向上が図られている。また拡張性も高く、多くのバリエーションが存在する。機体名は嵐を意味する。機体カラーは濃緑。



☆MZ-04S〈シュティルシュトルム〉


 一部パーツを変更した〈シュトルム〉の潜入、隠密行動モデル。シュティルの名の通り静粛性に優れる。また生産性を多少犠牲にして、分解しての運搬、再組み立ても想定した設計となっている。第25話でグッドウィン王宮を襲撃した機体。機体カラーは黒。



☆MZ-05〈ブリッツシュラーク〉


 MZ-03〈ブリッツ〉を再設計した第五世代機。飛行可能。


 グッドウィン王国などの新型魔導機に対抗し、海を越えた侵攻を行うべく製造されたドルドゲルスの最新鋭量産機。その性能は従来の量産型魔導機とは隔絶しており、ドルドゲルスの領土拡大に大きく貢献した。機体名は落雷を意味する。



☆PMT-01〈パンター〉


 〈シュトルム〉とは別路線で開発された第四世代試作機。

 拡張性優先でややずんぐりむっくりな印象を抱く〈シュトルム〉に反して、スマートでしなやかな印象を受ける機体。名称は豹を意味する。


 当初は運動性能の向上を果たす為、四足歩行型の従来とはまったく違う魔導機として設計されていた。型式番号が別系統なのはその名残である。結局両手が使えることの汎用性の高さを鑑み再設計され、本機にいたった。



☆PMT-01L〈シャッテンパンター〉


 ハインリッヒがルシア・ルーノウに提供した〈パンター〉の仕様変更機。

 搭乗者の魔力を無理やり引き出す魔導コアを搭載しており、魔力の低いルシアをもってしても恐るべき戦闘能力を誇る。光属性魔法の強化を用いて大型の斧――ハルバードを振るう。


 後に翼状の飛行ユニットが装備されるなど改装され、第五世代相当機となった。機体カラーは漆黒に金の装飾。



☆オプスクーリタースの巨人


 禁断の魔導書オプスクーリタースの邪悪な魔法により〈シャッテンパンター〉を中心に形成された怪物。全長五十メートルをゆうに超え、規格外の力を振るう。


 装甲は邪悪さを感じるオーラのようなものに包まれており、ダメージを与えることは困難で、攻撃手段として触手を用いるとても機械とは言い難い機体。


 ルシアのエゴの暴走は元より、禁書に指定されるオプスクーリタースの意思が垣間見える。



☆PMT-01CC〈カーオスシメーレ〉


 復讐に狂うルシアにハインリッヒが提供した機体。〈パンター〉を母体にまるでデタラメに何本もの手足が生えた異形のフォルムをしており、戦闘時はそれらを魔法で強化し叩きつけるという攻撃手段をとる。


 その実態は、邪悪な魔法の研究をされつくし用済みとなったルシアを破棄する為に用意した棺桶と言うべきものである。〈シャッテンパンター〉以上にルシアの魔力を吸い上げ、その生命に深刻なダメージを与える。



☆MT-02V〈レオパート〉ヴェロニカ機


 〈シャッテンパンター〉の運用データを参考に生産されたMT-02〈レオパート〉のヴェロニカ機。第五世代。双剣を用いての接近戦を行う。機体カラーは紫。



☆MT-02〈レオパート〉


 〈パンター〉系統の高級量産期。性能は高いが扱いも難しく、近衛兵団など一部の部隊に配備された。 機体カラーは所属部隊によって異なるが、黒を基本とする。



☆MR-01〈リーゼ〉


 ハインリッヒがオプスクーリタースの巨人を参考に設計した機体であり、参考元と同じく通常の魔導機を遥かに超える巨体を持つ。


 本来ならこのサイズの機械は自立など到底できやしないが、ルシアを用いた人体実験の成果による禁書の知識と、魔力の吸い上げにより成り立たせている。機体名は巨人を意味する。



☆MZM-06〈クラーケ〉


 ドルドゲルスの水中専用魔導機。操縦者の魔力を自動変換し、風の魔力として放出することで水中での機動性を実現した。


 陸上での活動も可能だが、水中航行の為のユニットを取り付けるために飛行ユニットをオミットしているため、飛行は不可能。


 主な任務は制海権の確保、上陸作戦、商船破壊など。両腕はアンカーになっており射出して戦う。機体名はタコを意味する。

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