Eternal World

@rukisan

1話 〜Eternal World〜

【1話】〜Eternal World〜


この世界に神はいない。

《今は》

といっても、俺は実際に神なんて見たこともないし、俺が生まれて時は既にいなかった‥‥‥。

じゃあ、次の神がこの世界には必要な訳だ。

そして、もし神になる方法が、この世界のどこかにある4枚の羽に触れることだとしたら?

多くの人や生物達で、たった4枚の羽を求めて争い合うのだ。

まあでも、それもしょうがない事だろうと思う。

神という座についた者は、どんな願いも4つ叶うという言い伝えがある。

遥か昔、一度神になった男が、一つの願いを使って人間としてこの世界に戻って来たという。

その男は残りの願いであらゆる力を手にしていたらしく、神という存在を信じるほか無かったそうだ。

そして、願いを4つまで叶えられること、とある4枚の羽に触れることなど、神という存在の素晴らしさと条件を知ったこの世界の生き物達は‥‥‥

終わりの無い戦争を始めた‥‥‥。

個人で戦う者、仲間と戦う者、組織で戦う者、種族で戦う者。

もちろん、全員が神になる為に戦っている訳では無いだろう。

争いを止めようと戦う者、死んだ仲間や家族の敵討ちとして戦う者、羽以外にも、この世界に眠っている宝目当てで戦う者、ただ戦う事が好きな者。

様々な生物が、様々な理由で争い合う。

夢、希望、未来など、色々な感情や目標を持って本気で戦っているのだろう。

そう思えるのは、俺もそのうちの1人なのだからだろう。

俺は昔、この争いの巻き添えになった家族を失ったんだ。

母と父の敵討ち、そして神になって親を生き返らせることが、俺の大きな夢だ。

これがどれだけ難しいことかは分かっている。

ただ‥‥‥2人にもう一度会いたい‥‥‥。

まあ、話を戻すと、俺も神になる為に戦っているうちの1人だということだ。

そのため、俺は村を出て世界を旅することにした。

羽に触れる事、そして自分を鍛える事。

これを目標にして俺は村を出たのだ。

しかし、村を出てまだ2日しか経っていないというのにもう萎えてきた。

「あのジジィ!何が小さい森だからすぐ抜けられるだふざけんなよ?2日経ってるんですわぁ‥‥‥、景色が見事に何も変わんないんですわぁ‥‥‥。」

まずはトパリクト帝国を目指すんじゃ!小さい森を抜けてすぐの場所にあるぞい!

俺は村長の言葉を改めて思い出してみた。

うん、きっとボケて大と小の違いが分からなくてなってしまったのだろう。

だが呑気に文句なんて言ってる場合じゃない。

いや、全然呑気ではないのだが。

そろそろ持って来た食料が底を尽きてしまう‥‥‥。

これはもう力を使って空から行くしかないのだろうか。

いやしかし、誰が見ているかも分からないし、何が住んでいるのかも分からない森を燃やしてしまうかもしれないし‥‥‥。

そう思い直し改めて周りを見渡してみる。

「木があるなぁ。木以外なんか無いのか?」

そう思い前へ進み出口のような場所がないか探すが相変わらず同じ景色が続くだけだった‥‥‥。

そこでようやく俺はおかしなことに気付いた。

明らかに似すぎている!!

森だから似たような木があっても当然?いや、そんなレベルではない。

そっくりそのまま同じなのだ‥‥‥!

どういうことだ?

もう一度周りを見渡しても、やはり少女が1人いることくらいしかさっきから変わっていない!

俺の勘違いなら良いが、もし本当に全く同じ場所へ進んでいるのだとしたら、早急に対処しなくてはならないな‥‥‥何かの力が働いている可能性が大きい。

これは1から調べるしかないかな。

とりあえず、先程怖すぎてスルーした少女の方へ行く。

「あのー、少しお話し宜しいですか?」

俺はゆっくり近づきながら少女に話しかけた。

「あっははは!あ、あは、あはははははは!」

なんて珍しい言語なのだろうか。

あ と は だけで文を作るなんて!

だが悪いが俺は人間だからな。何を言っているのか分からない。

「あは!あははあは!はあは!」

とりあえずそれだけ言い少女からは離れた。

早くこんな森から出て本格的に動き始めいうのに‥‥‥。

既に詰みかけている状況に、もう力を出すしかないかと思った時、

「ねぇ、さっきの何?怖いんだけど。」

さっきの少女が話かけて来た。

「あぁ、人類語話せたのか。いきなりあはあは言うから他の生物かと思ったよ。」

全く紛らわしいことをしないで欲しい。

あの状況でいきなりあはあは言われれば誰でも他の生物と勘違いするだろう。

「いや、笑ったんですぅ〜!あまりにも面白くてついねっ!」

笑った?あの状況で何故笑ったのだろうか。

まあきっと頭が悪いのだろう、可哀想に。

「あ、そうなんですね。で、なんで笑ってたんですか?」

「あんたが私の力に気づかずに2日間も同じ場所を歩いていたことよ!マジうける〜!」

こいつまじか、2日間も俺への嫌がらせの為に力を使って付いて来ていたのか?

多分今世界1暇なのはこいつだろうな。

「どんな力なんだ?教えてくれよ。」

もし本当にこいつの力でそんな事ができるとしたらとても凄い力だ。

「教えてもいいけ‥‥‥ど、なんか‥‥‥食べ物を‥‥‥くださ‥‥い‥。」

グゥゥゥゥと大きな音が鳴り少女が倒れてしまった。

「おい大丈夫か?せめて力だけでも教えてくれよ!」

ここで死ぬなら是非どんな力かだけでも知っておきたい。

今後この知識が必要になるかもしれないしな。

「ねぇ!可愛い少女が食べ物頂戴って言ってるのよ?頭おかしいの?早くくださいな!」

「図々しいなお前。ま、すぐにカマキリ捕まえてやるから待っててな!」

俺はそう言ってリュックを置いてカマキリを探そうとすると、

「あのね僕?食べ物っていうのはね?こういうパンのことを言うのよ?」

少女は俺のカバンを勝手に漁りパンを出していた。

「お嬢ちゃんそれはね?人間の食べ物なの。だから君にはコオロギとバッタを捕まえてあげるから、ね?」

なんとも完璧なお兄さんだろうか。

今日初めて出会った生物の為に食料を確保してあげるなんて。

「人間だよ!さっきからなんなんだよ!力の事はちゃんと教えるので食料分けて下さいお願いします!」

少女は早口でそう言い頭を下げた。

なんだ人間じゃないか、せっかくコオロギ捕まえたのに‥‥‥。

「冗談だよ!まあ食べなよ。」

そう言うと嬉しそうにパンを食べ始めた。

そこまで美味しそうに食べてくれるなら、俺もあげたかいがあるってもんだ。

「ご馳走様でした、とても美味しかったです。私、ミルファと言います。宜しくお願いします。」

そう言って丁寧に自己紹介をする。

さっきまでの態度は何だったのだろうかというくらい丁寧だ。

「あ、俺はアークといいます。こちらこそ宜しくお願いしますね。」

俺も自己紹介を終えミルファに力についての説明を求める。

「私の力は〜、トレース!物体と物体の場所を入れ替える!しかし、視野内の2つしかトレース出来ませんけどね。」

え‥‥‥

普通に凄い力じゃないか。

しかもこの歳であのクオリティとは‥‥‥。

「そうか、お前の力はよく分かった。教えてくれてありがとな!じゃあもう俺に迷惑掛けるのはやめてくれよー。」

あの現象がこいつの仕業と分かったし、もうここに残る必要も無い。

「じゃあ元気でやれよ!」

俺はミルファにそう言いすぐに前へ進み出した。

すると、目の前の木が急にミルファに変身した。

「え、すご!どういうこと?」

俺は目の前に現れたミルファに近づき説明を求める。

「私は自分もトレースする事ができる!ただ、視野内のだけだけどね。しかもそれにも距離制限があるのだけれど‥‥‥。」

凄いな、こんな使い方もできるなんて。

「ねぇ、私も連れてって!」

するもなんとミルファがそんなことを言い出した。

だが、別に悪いことでも無い気がするな。

「あぁいいよ!だが、俺の言う事はちゃんと聞けよ?それなら食料くらいは分けてやるよ。」

世界で1番優しいのは間違いなく俺だろうな。

「ほんと!じゃあよろしくねアーク!」

「あぁ、こっちこそよろしくミルファ!」



《能力&キャラ紹介》

〈アーク〉?

炎の龍に姿を変えられる

〈ミルファ〉?

物体と物体の場所を入れ替える













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