名もなきちいさな星のように 唯一無二のひととして

Tomoka Kaneko「英語表記」

第1話 マネキンではありません

マネキンというと、多くのひとは、洋服をひきたてる衣料品店にならぶ人形を思い浮かべるでしょうが、マネキンには大人のよこしまな想いが沢山仕組まれています。

例えば、ブランド品。

多くのブランド品は着るために作られていないのです。

マネキンのサイズの多くが七号以下、といった見栄えがよくなるサイズに仕掛けられていることは多分、デパートは言わないでしょう。売れなくなってしまうから。

でも、マネキンにはそいった仕組みがあるのです。

綺麗にみせれば見た目の綺麗にとびつくひとが買うだろう、と。

そうして出来上がったのがパリコレといった、ほとんど摂食障害としかいえないような生活をしているひとたちのみてみて大会であり、生活をまともにしているひとであるならありえない、まるでAIのような体型の人間たちなのです。

例をあげると、フェラガモ。

私の母はけっして私に買い与えませんでした、ある時期まで。

あるとき、ヘップバーンに憧れ、どの女性もののしり、どの彼氏もふりちらかし見合いで玉の輿にのった女性が私にブランド品の数々をみせびらかしにきた日のことを母に話した時の私と母の話をうちあけましょう。

私の母は、いじきたなくほしがるんじゃない!と私を一括し、あなたを私が一人前と認めたときには好きなものを買って与えてやるから、あさましく、ひとをうらやむような女になるんじゃない!といわんばかりに私をたしなめ、ひたすら仕事と勉学に励み、とある病からリハビリの日々ばっかりひとりで過ごしていたときのことです。

ある程度、自力歩行を獲得し、実家から二子玉川まで3往復程度はひとりで歩けるようになったとき、好きな靴を探しにいきましょう、歩けるようになったのだから、と、母は私の腕をひっぱり二子玉川の高島屋の裏手に私を連れてゆきました。

二子玉川の高島屋は実は祖父が趣味の範囲で土地を分けてたてたところだったようで、

上に高くそびえていない裏手には沢山の海外のブランド品のお店はあってもはいったことがなかった私は、値札がついていないお店の中の品々を買い与えたい、と、母が私を連れて行く時は、値段をみないで納得ゆくまでよくみて納得したものをみすに来いというミッションであることを昔からよくわかっていた私は、即、なにもいらない!帰る、家がいい、と言いましたが、時、すでに遅し...。

お寿司と遅しを絡めただじゃれは、横においておきます。

だめ、なにかひとつでも納得するまで選ぶこと、そういった本物、ほんとうに良いものを自分でいやでもみつける審美眼を再び身につける歳があなたに来たんです。


探しなさい。


いや、母の空気は、さがせ、さがしてこい、さがして、私に探したものをみせにこい、といっていました...。

ふぅ、とんだ母親をもってしまったものだ、と、いつも歩いてみてまわりつつ、通りすぎていた、ルイビトン、フェラガモ、ドルチェアンドガッパーナ、といった、ニューヨークにいったときでさえ入ったためしのない店にはいり、

靴をみていると、案の定、値札がない...。

こわくなり、店員さんにおいくらですか?

と尋ねるたびに、お尻を背後からつねられつつも、値段を聞くたびににもったいないとしかおもわない私は、やっとフェラガモである靴に目が止まり、ふかふかのソファーにこしかけおまちかねの母にこれがいい!見てほしい!といい、店員さんとはなしをしようとしたら、奥からその店で1番のめききとみえる店員さんがでてきて、私のサイズをみて出してきてくださいました。

ひたすら歩き辛く、あるけない靴...。パリコレでいうなら、ターンしてもどってきたらバックヤードで投げとばしたくなるくらい見栄えがよくても歩きずらい靴に、思わず、これでは歩けない、と店員さんに伝えると...

お嬢様、これは歩くための靴ではないのです、と伝えられ、はっ、お車でお迎え付きのひとの靴か!とわかったとき、歩けるようになった私を母は嫁入り支度させて車の運転手つきの家にやるつもりにちがいない、と勘付いたわたしは、歩くのが好きなので、歩きにくい靴ならいりません、ありがとうございました、ときびすをかえすと、母はいつになったらおまえは女の子らしい服をきてくれるんだ、男物ばかりきたがり、まただめだったか、と肩を落とした後、ご飯なら食べてくれるよね?と屋上から数えたほうがはやいレストラン街に行く途中、スポーツ用品店に目が止まり、歩きやすいこういう靴ならほしい、といった話をした後日、母にかくれて高島屋の中の靴屋のサンダルなど全てのヒールの低い靴などを試着し、父も腰を抜かすほど大量の靴が今も実家にあることを記しておきます。

父はコロナウイルス騒ぎが始まる前、実家の下駄箱のほとんどを占めていた私の靴を

OKスーパーからダンボールをもらってきて

知香の靴、1.2.3.4.5.6.7.8.とマジックでかき、兄の部屋だったところにAmazonより充実させているといわんばかりに積み上げてあり、父は服は畳むとシワになるからドレッサーはおまえがなんとかしにきてくれ、と、いっていたおとも記しておきます。

なお、私の父はAmazonを知りません。ネットで買い物を一切しないひとなので。

つまり、マネキン、マヌカンとは綺麗にみせて買わせる釣りの餌だと先に知っておかないと財力のない女性たちはローン地獄しかまっていないということをよくわかった上で、買い物しようと町まで出かけてください。

財布を忘れたあなたは大正解!

カードでローンをくんだあなたは大失敗。

これでもまだ買う?

いったんここまで。

ものを売る気を今そがさせないと、パンデミックがまだいまなお、外でサッカーボールをけりあげ、トトにうつつをぬかしたがるバクチうちのように舞い上がるので、記しておきます。

21:18 2020/5/3

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