「天邪鬼 ~きみにあげるよ~」

きみに しあわせを あげるよ

もし きみが ぼくのこと好きでいてくれたら


ぼくの視線を きみにあげる

きみの顔を見つめて


どんなことに喜ぶのか

どんなことに驚くのか

思案する顔

ワクワクした顔 見ていたいんだ



でも 違ったら


きみが ぼくのことなんか これっぽっちも何も感じやしなかったなら

今 言ったこと 全部 忘れて


聞かなかったことにして


だって それは関係性

だって気味がわるいでしょう?



優しさを持ち寄って 交わす笑顔と視線の先の

ちょっとした表情に秘められた


きみも 他の誰かと同じに

社会性の安らぎと愉しさの中で


本音を隠し 互いに見えないようにして

互いに見ないようにして


安全圏を保った距離で



きみと ぼくの相性は

きっと たぶん 今 決めることではなくて


歩み寄っていくのだろう

偶然なのか 意図なのか


言葉を交わして 心を見せる


ほんわりと嬉しくなる

ぼくは 本当には

きみを見つめていたいんだけど

だって気味がわるいでしょう?


ぼくに見られていることの きみの気持ち


本当が 分からないから

躊躇って 見ないようにする


ぼくの中の 天邪鬼

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る