『いま、この瞬間』に読むべき作品。
主人公は十七歳の高校生です。
彼女が見ている現状や、感じた思いなどが綴られています。
等身大の高校生の感性があますことなく表現され、「私もこれくらいの年頃はあれやこれやと考え事をしていたなあ」などと懐かしく思い出しました。
得に秀逸なのが、彼女の短歌です。
いくつかの歌が登場しますが、どれもハッとさせられたり、考えさせられたり、少し皮肉めいていたり、ひとつひとつに重みを感じます。
とくに、最後に登場する短歌には作品全体のテーマを感じました。
【言葉ってなんなの過去を忘れ去るまえに記憶を封入してよ】
面白いのは、この作品が『6月19日』のこととして書かれているという点です。
このレビューを書いている今日は2020年5月10日。
つまり、作品は『ほんのちょっとだけ未来』の話だと解釈することができます。
日々状況が変わっていく中で、はたして『6月19日』はどのような日になるのでしょうか。
移り変わる一日一日をじっくりと観察し、『その日』を迎える。
そのために、まさに『いま、この瞬間』に読んで欲しい作品です。
二分間。
たった二分間あれば、読むことができます。
このレビューを読み終えたら、ぜひ!
ポスト・コロナの十七歳 - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054896431892