捜査
「さて、どう捜査しようかな?」
椿達と別れて警視庁に戻る冬魔。
昂鷹は椿と幼馴染だが、何か裏がありそうなのであれば調べなくてはいけない。
私情を挟めば命取りになる事を、冬魔は知っている。
「日を改めて椿に話を聞いてみようか。いやでも、椿は何も知らなさそうだったしなぁ」
どうしようか、とデスクのパソコンを見つめていると、お疲れ様です。と声をかけられた。
「おや、千隼君か。お疲れ様」
「どうかしたんですか?何か悩んでいるように見えますが」
「あー、うん。ちょっと気になる人がいるんだけど、どう調べようかなと思って」
「気になる人?」
「椿と身体能力が同じくらいの人なんだけど、何か秘密を抱えていそうでね」
「へぇ。冬魔さんの勘はよく当たるから、そうなのかもしれませんね。……で、その気になる人って、誰なんですか?」
「橘昂鷹って人だよ。営業会社の社長をしているらしい」
冬魔がそう言うと、千隼は少し驚いたような表情を見せた。
「橘昂鷹……ですか」
「ああ。彼について何か知っているのかい?驚いていたけど」
「以前少し会話をしたことがあって。優しそうな方だなと感じましたが」
「なるほどね。そしたら千隼君にも捜査協力してもらおうかな。……あ、でも千隼君は今別件も捜査してるのか」
「いえ、受けますよ。大丈夫です」
食い気味にそう言う千隼に、少し苦笑しつつ返す冬魔。
「そうか。頼もしいね、千隼君は」
「少しでも役に立てるのであれば何でもやります」
「あはは、嬉しいねぇ」
そんなことを話していると、何かを思い出したのか真剣な面持ちになった千隼が口を開いた。
「あ、そういえばその別件についてなんですけど。相変わらず何も進展がなくて」
「……そうか。中々情報が入らないね。困ったな」
「すいません。捜査はしているのですが……」
「いや、分かってるよ。千隼君は優秀だからね。君でも情報を手に入れることが出来ない、ということは、相手も優秀なのだろう」
「早くヤツを逮捕出来るよう尽力します」
「ああ。期待しているよ、千隼君」
「ありがとうございます、冬魔さん」
失礼します、と言って事務所を後にする千隼。
「さて、千隼君にだけ動いてもらう訳にはいかないからね。僕も自分なりに出来ることをしよう」
椅子に掛けてあったジャケットを羽織り、冬魔も事務所を後にした。
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