愛を教えて

宇田川ルキ

第1話 未婚30代男

私、夢森有栖は、自称清楚系ビッチだ。今日も、ライン掲示板で自分のQRコードを張り、男とのやり取りで遊んでいる。ピコン。早速、男が追加してようだ。



『こんにちは。東京住みの30代のおじさんです。仲良くしてね』



お遊びスタートである。



『よろしくお願いします』

既読




『名前と年とすんでいる場所教えてくれるかな?』



紳士的に見えて下心丸見えの男だ。きっとこのあと写真を要求されるに違いない。そしてエッチな写真も。私は、送信の準備をする。



『宮城住みの17さい、みゆです』

既読



勿論、みゆは偽名である。本名だと色々面倒だし、はっきりいって本名で呼ばれると吐きそうになる。



『おーわかいね😊』



もう、キモいわ。特に、このニッコリマーク。まだ普通に若いねぐらいでいいわ。



『彼氏いるの?』



出ました、お決まりパターン。大体の男は彼氏の有り無しを聞く。これは、彼氏がいないことにより自分の思い通りにことが進むと思っているからだ。まぁ、残念だがその手には乗らないけどね。


『 いないです』

既読



『ねぇ、ねぇ、写真見せて』




写真

既読 』


私は、過去最高で一番良く盛れた顔写真をのせる。上目使いでどこか寂しげな雰囲気を醸し出した写真はどこか今の私に似ている気もしなくないけど。



『かわいいね』



『おじさん、みゆちゃんのこと好きになっちゃったよ♥️』



また来たよ。安っぽい言葉。変な口説き文句。恋愛初心者かっての。だいたい写真あげたくらいで好きとかありえねー。マジただの出会い廚だわ。



『ねぇ、ねぇ、どう?おじさんを彼氏にしたくなった?』



死んでもねーわ。あー。超だるい。もうこの辺で切り上げようかな?



『 みゆ、そういうの苦手なんですよ』

既読


やっぱ、もう少し続けよう。まだ、始まったばかりだからな。可愛い子ぶってみゆは〇〇なのとかは遊び甲斐があるし。



『えー、彼氏欲しくないの?』



『そりゃ、欲しいけど』

既読


嘘。彼氏なんて欲しかったらこんなのやってないわ。いい加減遊ばれているの気づけや。




『じゃあ、彼氏になったあげるからさ。付き合おう♥️』




はい、出ましたー。気持ち悪い告白。私は、これで何度目だよ。こんな告白嬉しくもないっつーの。



『付き合ったらね、楽しいよ。おじさんとイチャイチャし放題だよ。みゆちゃんだって欲しいでしょ。ひ・と・は・だ♥️』



ヤバい吐きそうになってきた。いい加減これ以上遊ぶのやめよう。

私は、ラインの上を開き、ブロックの場所を押した。




これが私の秘め事。今まで、およそ50人の男とやり取りしてきた。年齢は中学生から40代。一度だけ、危ないところを経験したけどそれ以上はしていない。自称清楚系ビッチだけどまだ処女だし。おっと、また男から連絡が来た。今度はどうやって転がそうかな。



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