10年後に俺は、自殺するらしい。
三澤凜々花
2010年7月13日
「4番、ピッチャー大城君……背番号1」
ウグイス嬢が俺の名前を呼ぶ。
アナウンスと共に、今日1番大きな声援が飛び交った。
「大城くーん!」
「いけー!大城ー!」
ネクストバッターズサークルから、腰を上げた。
2010年、7月13日。
夏の甲子園予選、神奈川県大会。
1回戦、1回表。
ツーアウト、ランナー2塁。
打席に立ち、バットを構える。
誰もが俺に期待している。
声援が大きいのは、俺がエースで4番だから、という理由だけではない。
俺はいわゆる「クラスの人気者」だったと思う。
野球部では、2年生ながらエースで4番。
勉強も、みんなに教える役目に回るくらいには成績優秀。
ベンチで俺を見つめる、キャップを深く被った美人マネージャーは俺の彼女である。
今の人生に不満はなかった。
相手校のピッチャーが、セットポジションから腕を振りかぶる。
そして、振り切った腕からボールが伸びてくる。
球種は……まっすぐ。
その力強いストレートが――
「ぐあっ……!?」
刹那、俺の頭に爆発するような衝撃が走った。
朦朧とする視界にはグラウンドの地面と転がるボール、
そして顔面蒼白で駆け寄ってくる監督の姿がぼんやりと映っていた――。
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