第4話 異界ではなく令和現代だ。

〈ブワ〜ん〉と、目の前が暗転…。

真っ暗闇から明かりが戻る。

目の前には、角あるメェヘヘは居なくて…。

少し先の暗がりにポツンと赤色球体が見える。


赤い玉の側まで走れ!と、帽子の声が頭に響く。


#帽子カラスはまだ頭の上に居た。重くないから気にはならない#


暗がりに目が慣れてくると、

〝なーんだ、日本の町中じゃないね!〟、


「カラスちゃん、日本の町だよね?」と聞くと、

とある日本海側の海岸沿いの小さな町だと、帽子。

赤い玉は、交番のアレだねアレ。

#夢なんだよねと思いながら、言われた通りに歩く#


「止まれ!」と、交番の真横の電柱でカラス帽子の命令が飛んでくる。


何をするのか聞こうとしたら、白い犬がワンワン鳴きながら交番の真正面の商店街

アーケード入口からものすごい勢いで走ってくる。


その少し後ろに転げ回るように走ってくる若い男。。。

その後ろ手には女の人を手で引っ張って。

ヒールから何かで走り辛かったのか裸足に見える。

ここは、丁度、アーケード入口に面した交差点の交番。

交番に駆け込んでいるんだなきっと。

ゴールイン!交番に転がりは入る。

犬もゴールイン!

#ナイス!#


野次馬のように、交番内に何事かと入って聞こうと動こうとしたら…。

「動くでない!」とくちばしでチクーって突かれる。


女の人の後ろ手アーケード入口から、沢山人影が〈ゾロゾロ〉と出てきた。

賑やかになってきた。

若い男が、巡査に飛びかかる勢いで声を張り上げた。


「助けて。早く海岸へ、友達たちが化け物に捕まっている‼」

「早くはやく‼」。。。お巡りさん!


壁の方に机を置いてあるので巡査の背中に叫んでいる。

〈ノソリ〉と、巡査が振り向く、〈ぎゅろろ〉と瞼が下から出て来る⁈


男は吹き飛ぶように、真後ろにひっくり返って交番の壁に後頭部を強打。

女は巡査の顔を見て半笑い…。

失禁。


巡査は、〈ヌチャヌチャ〉と耳元まで裂けている口をじゅるりと、ひと舐め。

まるで、魚類の顔。

〈ヌラヌラ〉した膚に。。。


多分、元は人間だったことを物語るように、警帽を被り頭髪も疎らに残っている。

〈ぎゅろろ〉と、下から瞼が閉じる目は死んだ魚のあの目。


「ヒイイー」男は、一声吐いて動かなくなった、力が抜けたようだ。


女は、男の後ろ側だったので交番の入口に半身入れていた。

が、その外側には〈ゾロゾロ〉と町の人…。

いいや、人だった魚類の顔が真横に並んでいる。

赤いスカートの女性ぽい魚類。

パジャマ姿の子供の魚類と様々だ。


半笑いのまま振り返った女は、赤いスカートの魚類に、

「さとみちゃん、さとみちゃんだよね⁈」と呟いて〈ユラ〜っ〉と、

魚類の顔の群れの中に歩み寄る。


その時、〈パパパパッ〉と乾いた音が唐突に響き渡る。

魚類が、〈ぶちゅぶちゅ〉と肉片を飛び散らせ緑色の体液をまき散らせながら

崩れ落ちる。


「こちら、空自異形種殲滅ストライカー部隊ワイルドウルフ隊、富山県警対策

 本部へ送れ」


「我ら遭遇!事象の発生を確認した。

 これより殲滅開始。

 本山町への流入道路て徹底封鎖願う送れ」


〈ガーガー〉と、無線のノイズ音を出しながら、無線機を背負った自衛隊員?

が現れた。

電柱の陰から見えるのは4人。

肩口に日の丸、それと狼のエンブレム。


装備が凄い。

あれは、最新の89式カービン銃、銃身の下にはフォアグリップをカスタムしている。

銃底を肩口にあてがい顔を少し斜めにしながら、タタタタと滑るように魚類の群れに

近付いてくる。

顔は硬式フェースガードで固め、目はサングラスのようなゴーグル、真横を通る無線

機の隊員のゴーグル内に電子液晶画面の光が漏れる。

片口には、おおお初めて見た!無線LANのアンテナもある。


という事は、全員が情報共有を無線LANで行い、後方にある司令部のスクリーンに

は彼らが目視している映像が生中継されているだろう。

でもやはりデカイなこれだけの電子装置を持つとバッテリーがネックだね。

腰のデカイ箱、バッテリーだね。

まだまだだね〜。

と、思いながら傍観しながら、カラス帽子に聞く。


「どうして、あたしは彼らに声掛けられないんすか?」


すかさず、

「ケルノンクスの加護で、現し身だけの存在。

 お主の実体はまだあの雪の広場のケルノンクスのまえに座ったままじゃ、視覚だけ

 がココにあると思え」


#そうなんだ!現世でエンジニア職種で働いてて疑い深い割りには、深くは突かずに

 事象だけをまずは受け入れる、素直さが売り(笑)#


「じゃ、見えない存在の自分は見物してきていいのかな?」と聞くと、


一歩もこの電柱の陰から出てはいけない!人らに勘づかれるのは、どうとでも良いが、

魚類にはそなたの存在が知れると、お主を加護しているケルノンクスまで危うくなる。

ケルノンクスは、命懸けで膨大なマナを使ってお主に伝えるべきこの惨状を見せておる

のだと説明される。


じっとしとく事にする。

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