現代ハンムラビ法典

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現代ハンムラビ法典

 「こいつですか、おれの女房に手を出したのは」

 「そうです」

 「許せません」

 「心中ごもっとも」

 「とられるおれもわるいにゃわるいが」

 「いえそんなことは」

 「とったこいつはなおわるい」

 「道理です」

 「おまえゆるさんぞ、おい」

 「お気持ち察しますが、私は殺しはやりやせん」

 「わかってるよドクター」

 「いかがしますか」

 「こいつの一物を根元からキンタマごともいで」

 「お安いご用で」

 「ついでにさらってきたこいつのこの十四歳のなかなか器量のいい娘のおでこにひっつけて」

 「ようがしょう!」

 「神経ごと脳組織にくっつけてやってくれっ!」

 「海綿体の膨張率の指定は!?」

 「常時六十パーセントでよろしく!」

 「合点承知!」

 親子の喉から血が吹き出るほど絶叫にも構わず、ドクターは壮年間男の下腹部に冷温麻酔を施し、一物を切断、固着型人工擬似血液で内部海綿体の膨張率を六割に固定し、すぐさまそれを隣で泣き叫ぶ女子中学生の娘の髪の生え際中央部分の体組織を削り脳幹の抹消神経に父親の愚息を神経ごと絡ませ周囲を人工皮膚で癒着、絶叫する女児の頬を容赦なく引っ叩き黙らせ、隣でも叫んでいる間男親父の創傷に消毒を丸ごとひと瓶ぶっかけて上からガーゼをかぶせて漬物石で荒々しく固定。寝取られ男と陽気なモグリ医は二人が乗った移動用ベッドを我先にと競うように押して廃病院の真っ暗な長い廊下を疾走し、玄関のガラスを叩き割りながら外に出て、荷台のベッドを二人を固定したまま路傍に垂直に立て、明朝通りかかった者に見つけてもらおうという算段。さらにおぼこ娘のスカートをたくし上げるとそれぞれ一発ずつぶちかまし、トロリと血が出たことに大爆笑して間男を見るももう生気なしで虚ろな目玉。二人で大日本経済帝国バンザイ未来に幸あれと手を上げながら近くの町工場からパチってきたボコボコのハイエースに乗り込み朝ぼらけとともにその場を後にしたのでした。

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