Enemy1

1-1 Enemy1

私は、ノートル博士を出入り口から遠ざけさせる。


この研究所は出入り口が一つしかない。ここを見張っていれば、敵が入ってきた時、すぐきづけるだろう。


ノートル博士を後ろに戦闘体制に入った。


足音を聴く限り敵は一体のはず、アップデートした今なら一対一は大丈夫なはずだ。


扉が勢いよく破壊され、あたり一面に煙が立つ。警報が鳴り響くなか、その煙の向こうで動く影を目視した。ゆっくりと確実に近づいてくる影が煙の中から姿を現した。


私は、絶句した。どこからどう見ても人間の姿なのだ。


「奴らは、そこまで進化していたのかっ!?気をつけろ。アップデートしたとはいえ、相手のほうが強いかもしれない。」

博士の声が後ろから聞こえてくる。


私は、静かに頷いた。


数分の時が流れた。相手も動こうとしない。敵の情報が少ないから、うかつに敵の間合いに入ると何をしてくるかわからない。相手は銃を持っているかもしれない。この状況は非常に危ない。私のすぐ後ろには博士がいる。こちらに注意をひきつけ博士から遠ざけよう。私は、敵に向かって走り出した。


「博士!!私がひきつけます。逃げてください。」


相手の間合いに入ると、目が赤くひかり、戦闘態勢に入る。


私は、相手の顔面に一発。

相手はよろめき30cm後退した。

私は、追撃するために間合いを一気に詰めた。突然、顔に相手の拳がとんでくる。

バキン!!

私は、バックしようとしたが、とんできた拳がそれを許さない。頭を掴まれ、体中をラッシュ。投げ飛ばされ、壁に勢いよくぶつかる。敵の追撃一気に距離を詰め、殴りかかってくる。それを、間一髪で避けながら、カウンターの右拳。そのまま左拳で殴ろうとするが、相手が体をひねり一瞬消え、下へ行ったと思った瞬間。後ろ蹴りが腹部に命中。再び壁に叩きつけられ、ラッシュ。


駄目だこいつには勝てないのか……

私がここでこいつを倒さないと博士が狙われる。博士は人間だ。一発で死ぬだろう…。  


この間も敵のラッシュは続く。


死ぬ? し…ぬ…?博士がいなくな…る?

嫌だ。そんなのは


「嫌だぁーーーーー!!!!!」


相手の拳を両手で抑え込み、相手の腹部へ両足蹴り、相手は後ろへ後退する。


「博士は、なんとしても守る。私いや、俺がぁーーー!!!」


距離を詰め、相手を殴ろうとするが、相手はうまくかわし、カウンター。俺はそれを避け、しゃがみながら、相手の足に回し蹴りをくらわせる。相手は倒れる。そこへ馬乗りし。頭を鷲掴み。足に力を入れ、跳び上がりながら体をひねりデスロール。相手の頭部がとれ、相手は動かなくなった。


「俺は、博士を守っ…た…。」


そのまま倒れ、気絶する。


《OSの過度な使い過ぎにより5時間。機能を停止します。》


〜〜〜数時間後〜〜〜


《OSの再起動中》

   ・

   ・

   ・

《OSの再起動に成功しました。直ちに破損箇所を修理してください。》


起き上がり、周りを確認する。外へ出ると、明るかった空はすでに暗くなっていた。


今何時なんだろう。博士は何処だ?

体が思ったように動いてくれない。早く博士を見つけなければ…


とりあえず、家に帰ると玄関に見馴れない靴を発見した。


何だ?この靴はもしや、次の敵がもう来たのか。


姿を確認するため、息を殺し一部屋ずつ確認していく。


ここにはいない、ここにも。それじゃリビングか?


恐る恐る近づき、音を立てないようにゆっくりとドアを開けるとそこには白衣をまとった私が全力で護ろうとした。彼女ノートル博士が心配そうな顔をしてこちらへ近づいてくる。


「よかった。ほんとによかった。」

泣きながらも必死にその言葉を私に伝えてくれる。 


ああ、私はあなたを護ることに成功したんだな。


《破損部位が多いため強制シャットダウンします》


目の前が暗くなっていく…

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