私たちは今を生きる
兵頭 七日
第1話 転校生がくるのは定番です
私の名前は〈小森 花〉どこにでもいるただの高校三年生だ。初めに言っておくけど、この話は異世界に飛んだり、不思議能力を身につけたり、悪の組織を倒したりしない。本当にただの日常のお話。
(あぁ...今日も、いい天気だ。)
朝のHRで先生の話を聞き流しつつ、窓から流れる雲を見ながら、ぼんやりと考えた。絵に描いたような入道雲が浮かんでいた。
高校3年生、夏休みがもうすぐ始まるこの時期、周りの子達は進路のことでどこかピリピリとしている。
上の学校に進む人、専門的な技術を学ぶ人、いろんな事情で就職する人、はたまた外国なんかに留学をする人...!?
(まぁ。そんな人はいないか)
心の中で小さく笑う。こんな田舎の学校、選択肢はないと言っても良い。かくいう私も、特にやりたいこともないので、とりあえず自分の学力でも行けそうな、県内の短大を希望した。
夏休みはほどほどに勉強して、友だちや家族と遊んで、あっとゆうまに卒業だ。卒業したら、家を出て一人暮らしになるだろう。
(早く終わらないかな...)
高校生活に不満があるわけでは無いけど、卒業すれば何か変わる気がして、何か楽しいことがある気ぐして。近頃は、期待と不安に満ちた大学生活を脳内で考えているばかりだ。
「それでは、今から転校生を紹介する」
先生の言葉に、周りが少しざわついた。少し前から転校生がくることは知られていたが、いざその時になるとみんなの目が好奇に輝いている。
(こんな時期に転校だなんて、大変だなぁ。)
まだ見ぬ転校生に同情しつつ、私も少し背筋を伸ばして入り口を見た。
「佐倉陽太です。よろしくお願いします。」
爽やかにそう挨拶した転校生は、眩しいほどのイケメンだった。
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