食い物怪談
yoshitora yoshitora
枝豆の悲劇
枝豆夫は幼少のころから強く父に言われてきた。
「ビールを片手に持っているやつには、絶対近づくな。命の危機が迫る」
豆夫はこのいいつけを堅く守り、ビールを片手に持っているやつには絶対に近づかなかった。
豆夫はサラリーマンだった。謹厳実直なサラリーマンだった。海外で安く豆を買い、国内で高く売る仕事をしていた。そんな仕事柄、たまに飲みに誘われることもあったが、豆夫はつねに危険を感じ、自分は飲めませんからと酒の席を固辞し続けてきた。
とうとう豆夫は飲みの席に顔を出した。部長次長とと課長と主任がいる席だった。みんなが乾杯した。そしてつまみが出てくる前に、豆夫の頭は全部食われた。豆夫はアンパンマンのような気持ちで意識が遠のくのを感じながら思った。やはり父の言葉を守っておけばよかったのだと。
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