第15話 ただ一言

彼にそう言われてから、私は仲の良い友達、クラスの人々、全校生徒、ましてや先生達までもが、私のことを「いらない」って思っているのだと思うようになった。


自殺願望は前からあったよ。けれど、私「誰かは私のこと必要」なんだって心のどこかで信じていた。矛盾しているよね。なんでだろうって考えたら、私はそもそも自分で死ぬのが怖かったんだって気づいたんだ。だから、生きなければいけない理由―生きる意味を求めて、求めて……。


遂に私は、ストレートに聞いたり言うようになっていた。


「私っていらないのかな」


友達の前で、聞こえるか聞こえないかの微妙な音量で言った。友達の顔を見たら明らかに引いていた。引かないでよ。

別の友達を見た。そんな「この人、病んでる」みたいな顔で見ないでよ。私は病んでいない。その反応自体、辛いんだよ?


「お願いだから死なないで!」

「そうだよ! 絶対ダメだよ!!」

「……」


ごめんね。傲慢で、厚かましいけれど、誹謗のせいでズタズタに傷つけられた私の心には、いくら「お願いだから死なないで」って言葉、言われてもちっとも響かないんだ。女の子からでも良いから、私のこと好きって言ってほしかった。


今考えれば、私はこの時、愛を求めていたんだと思う。私のことが一番好きで、絶対に裏切らなくて、私のすべてを理解してくれて、私に癒しをくれて、自分の人生において必要だって、いなくなったらおかしくなってしまうってくらいのそんな人にずっと愛されたかったんだと思う。そんな人だったら、私のこと、絶対に裏切らないって思えたんだよ。そんな人にただ一言、好きだから死なないでくれ、って言ってほしかったんだ。


好きだから―そんな明確な意味があれば、私は心から生きたい、生きていなくちゃって思えたんだ。


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