第2話 男の人
私のことを横で見ているこの男の人に、私は面識があった。その男の人は高校時代、同じクラスだった私の同級生だ。
こちらをニタニタと笑いながら見てくる男の人に私は恐怖心を覚えた。怖い。怖い。一体何が目的なの!? 私をどうしたいの……?
そしてベッドに頬杖をつく手とは反対の手がこちらにゆっくりと伸びてきた。
「んんっ!!」
顔を右に反射的に背けた。涙が流れる。怖いっ! 何をされるの!?
「相変わらず、綺麗な髪だな」
頭を優しく撫でられる。そして手は髪と髪の間に指を通してゆっくりと毛先の方へと下がっていき、そして頬を触られた。
「泣かない泣かない。てか肌、透き通りすぎじゃね? はは、赤ちゃんみたい」
涙を指でぬぐられた。体中から冷汗が出ているように感じる。怖いよ、怖いよ……。誰か助けて! 神様! お願いだから! 誰か! 私は心の中で必死に祈った。
「でさ、いつになったらさ、素直になんの?」
男の人は急に触るのを辞めて、手を引っ込めた。
「……?」
意味不明な言葉に戸惑った私は、背けていた顔をゆっくりと男の人の方に向けて恐怖心を持ちながらも恐る恐る男の人の目を見た。
「全部、演技なんだろ? 暴れるふり、怖がるふり、ウソ泣き」
「んん~~~!!」
必死に首を横に振りながら、出ない声で私は訴えた。演技? そんなわけないじゃない! こんな状況なのに!
「!?!?」
すると男の人の手がいきなりこちらに伸びてきて私は思わず目をつぶった。
「んんっんっ……」
男の人に胸ぐらをつかまれた。苦しい。
「いい加減素直になれって言ってんだろ! ハナ!!!」
「!?!?!?」
大声で怒鳴られた私は、どこか嬉しさを感じていた。
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