それでも魔女は毒を飲む
タケノコ
私はフレア
私はフレア。
12月25日に生まれた私を魔女の呪いから守るため、両親が太陽のフレアにちなんでこの名をくれた。魔女の呪いなんて迷信で、人より傷のなおりが早くて、元気という以外は何にもない。私のことをとても心配してくれる両親には悪いが、いっそ魔法をいっぱい使って仕事の手伝いでもできたほうがよかったのにと思う。
いつものように洗濯物を抱えて、私は家の庭先へと出た。
「やあ、こんにちは、クロ。」
「やあ、君が昨日干した洗濯物、雨が降ってきたときに取り込んどいたのは、俺なんだぜ、なんか食うもんくれたっていいだろ。」
「びりびりに破いた、の間違いでしょう。」
そんな適当な会話をしながら、ほかにも一通り目に付く友達にあいさつをして、洗濯物を干し、畑の手入れなど一通りの作業を済ませる。
日課になった作業を終えて家に帰ると、
「今日も、よく頑張ったね。ほら。」と、いっぱいのグラスが差し出された。魔女にならないための薬、物心ついたころからずっと飲まされつづけている。あまりおいしいとは言えないのだが、これを飲まなければ本当の魔女になってしまう。私はなるべく舌に当たらないように、一気に飲み干した。
今日もあの子は死なないのね。
それでも魔女は毒を飲む タケノコ @nanntyatte
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