NOTITILE

クラウドストーリー代理

第1話 秋空の休日出勤


空は晴天で雲は見えない。

秋の空は自然が眠りにつくための準備段階とでも言おうか。

しかし、それを妨げる無粋なヤツがいたもんだ。

立ち込める砂煙、形は四足歩行型。

無機質なのか、有機物なのか分からない動かなくなったモノを私は踏みつけ、無線を繋げた。


「N1、臨時A区画、アンノーン撃破。回収します」

『バース、了解。出来るだけ破損のないように回収をしてください』


え“さっき踏んじゃったよ

オペレーターの指示を受け、私はいそいそとアンノーンというモノを抱え、バースへ向かう。

向かう途中、感謝の声が何処からか聞こえてきた気がする。

正直嬉しいが、戦った後に反応する体力がない。

早く帰りたい。

数時間移動して“人類敵対生物等対策本部”という名称組織の”バース“A区画基地に到着した。

ゲートに着くと音声拡散機からの音声が耳に届く。


『おー、おかえりアンノーンは持ち帰ってきたね?』

「持ってきた〜、早よ入れて〜」


ホント重いアンノーンが重い

数分後、無駄に大きい扉が開く。

大型の兵器でもあるのだろうか?

まぁ階級そこまで高くない私には関係ないか。


「いやぁ〜お疲れ様ぁ、今回は中型かぁ。苦戦はしなかったみたいだねぇ」


おっとりとした幼さを感じる声で労いの言葉を掛けられた。

私はアンノーンを“口”と呼ばれる処理場に放り足早に司令室に向かう。

司令室の文字が印字してあるドアがスライドする。


「ご苦労だな、アキノ戦闘員。しかし活動停止後に破損させたのは……ね?」


静かな声で笑いながら言ってくる。


いやまぁ、すみません。ごめんなさい。

休日出勤させられたので八つ当たりしたのは確かだけれど、近いからって働かせるのはいかがなものかと思ったり思わなかったり。


「何か訳があるのかな?」


聞いてきたよ。聞かれるこちらが一番答え

にくい事を

「八つ当たりです」


しかし私はあえて堂々と言おう。意見は提示しておいて損はないだろう……多分、きっと、maybe


「だよねぇ」


ん?指揮官が喋り始めた。

「そりゃ私だって休日に仕事飛んできたら腹立てる。同情ついでに今回は目を瞑ろう」


「あ、ありがとうございます!」

やったぜ。


「それでは失礼します」

「あぁ、明日はしっかり休み給えよ」


優しい。明日雨でも降るのかな。

「明日は予報上、雨は降らんよ」

怖。

「でわ」

「あぁ」

短い挨拶を交わした後に自動ドアが閉まる。

「スーパー寄って帰ろ」


***


スーパーを寄って帰宅する。部屋番号307。1LDKのアパート。ふと思う(何故日本では、ある程度規模の大きい集合住宅をマンションという。正しく使おうよ混乱しちゃうじゃん私が)

そんなどうでも良い事に考える力を使いつつ買ってきた食材を冷蔵庫にぶち込んで晩飯食って風呂入って寝た。

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