第8話 夜の集会

 夜になり、私の部屋で集まり話をすることになった。


 えーと、普通に狭いんですけど・・・。と心の中で文句を言った。


 でも、宿代を自分で払っていないので、文句を言える立場ではない。わかってる。



 ベッドにハンターとヤトが腰かけ(シオウは壁側で転がってる。そろそろオネム時間)。


 窓側に置いてあった文机は端に寄せて、ムーランとアスランテは自分の部屋の文机の椅子を持ち寄り、窓のある壁側を背に私と3人で並び、ベッドのハンターとヤトと向かい合っている。お見合いかっ?


「まずは、俺達獣人の方からだが、仲間達からの連絡はあった。瘴気の酷く溜まりはじめた場所があるらしい」


「うわぁなんか嫌な流れだね」


「そうだな。獣人とドワーフの方からも伝言板に連絡が来ていた。暗号化された文字で、仲間でなければ読めない物だ。その連絡のどちらも同じ場所の連絡だった。ここから300キロ位離れている。行けない距離ではないので行ってみないか?大昔にドワーフの王族が住んで居て、地下の迷宮が残っている場所だそうだ」


「いやいやいや、やめとこうよソコ行くの。そういう閉塞感のある閉じられた地下空間ってなんかいやなんだよね~個人的にはイヤ!」


 と、イヤさ満載的なねちっこ加減で拒否ってみた。


 暗くて狭い場所って怖い~。トラウマなんだよね、前の召喚で地下の牢に入れられて。あれは絶望的恐怖があった。


「イヤって言ってる場合かよ、それに暗くて狭いっていうけど、迷宮は広大な物だと聞いているぞ。ただ、行った所で、俺達はココ達の様に瘴気が平気な訳ではないから、昨日の様に傍までしか行けない事になるだろう」


「うーん。瘴気を消す必要はわかるんだけど、でも、根本的な解決方法も考えないとダメなんじゃない?」


「といいますと?」


 右隣に座っているムーランがモノクルを弄ってキラーンとこちらを見た。


 つまらない事を言ったら、鼻で笑われそうだ。


「だってさ、なんかわかんないけど、ベリン国にまた瘴気が湧き始めたんなら、10年前みたいに全国津々浦々また旅するの?あの時だって7年かかって回ったんだよ。そうじゃなくてさ、なんか原因があると思うんだよね。それを見つけた方が早いんじゃないかって思った」


「そうですね。貴女の言いたい事はわかります」


「えっ、本当?わかってくれる?」


「ええ、一応」


「・・・一応?」


「ですが、ここで近くにいるのに知らんふりは出来ないでしょう?遠いのならばアリかもしれませんが」


「近くてもアリじゃない?」


「いいえ、ナシです」


「あんたたち、つまらない言い合いはおいておいてだな、」


「だって~なあんかイヤな感じするんだよね~」


「わかりました、では取り敢えず行ってみて、止めた方が良ければそうしましょう」


「うーん。じゃあそうしようか」


 私はしぶしぶ頷いた。


「そういえば、言っておりませんでしたが、私の一族はミケロという家名です」


「そうなんだ・・・で?」


「家の一族にはいわゆる神託が聞ける者が出るのですが、『至上の黒』について誰も知らない話があるのです」


 最初、その情報、どうでもいい。と思った私が悪かったです。教えて下さい。


「至上の黒に纏わる話ですが、家に残る話だと、大昔に神託を流したのは、家の祖先だという話です」


「そ、それは・・・すごいレアな話だな」


 ハンターもヤトも目が真ん丸になっている。あ、夜だから単に大きくなってるだけかな?


「ええ、王族に知られれば首が飛びますので、口伝にて伝えられています。その神託を聞いたのは家の一族でもかなり聖の魔力の強い者だったそうです」


「それなら、似たような話がうちの一族にも残っている。いずれ救国の黒き巫女が現れる。必ずその方を助けるのだと。それだけが理由ではないが・・・私は、巫女姫をどうしても助けたかった」


 二人の話にびっくりだ。そういうのなんていうんだっけ?予定調和?


「触れるのを避けていたのですが、ココ、ロドリゴには気を付けなさい」


「えっ!」


「前に少し言いましたが、ロドリゴには王族の血が濃く流れています。いつ、どの様な形で裏切られるか分からないのです。正直、途中で別れる事が出来たので良かったと思ってます」


「だが、あいつは腕は一級品の魔導師だ。いつどういう形で現れるかは分からない」


「うん・・・その時にどうするのか、よく考えておく」


 




 


 




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