学校の日

第34話 朝

 玄関ドアを開けたら、直後に隣人も玄関ドアを開けた。


「あ、百合香ちゃん。おはよう」


「おはようございます」


「昨日は味噌汁作ってくれてありがとう。今度お礼しなきゃな」


 やっぱり朝の百合香ちゃんは暗い。俯いて、学校に行きたくないオーラ全開だ。


「今日も俺、昼までなんだ。また百合香ちゃんに会いに行くよ」


 彼女は、昼休み、高飛車な金髪くるくるヘアに鞭で打たれている。普通なら不登校になってもおかしくないところだ。俯きながらも学校に行く勇気があるのは、すごいことではないだろうか。


「今日は別に……」


「ダメだ。鞭打たれるのも、ゴミ捨て場に座るのも。って言ってもどうせ聞かないから、俺が強制的に百合香ちゃんを救う!」


「へ、へんたいっ」


 紺色のスカートをひらひらなびかせ、走る。


「ちょ、待ってくれよ……」


 また逃げられた。

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