第490話 暇な彼女
「せーんーぱーいーーー。なんで最近はオフィスに来てくれないんですかー? もうちょっと私たちに構って下さいよー。というか私たちを見限ったんですか!? そうなんですよね、そうですよね!?」
私がオフィスに出社すると、後輩からいきなりそう詰められた。
「いや、そんなに間が空いたわけじゃないだろ?」
せいぜい一、二週間程度だったはずだ。
「その程度ー? 先輩からはそう言う認識なんですね……私悲しいです、グスン」
と、後輩は泣き真似さえしだす始末だ。一体どうしてしまったのだろうか? まるで付き合っているカップルみたいじゃないか。
「どうしたんだ? 悩みがあるなら話を聞くぞ? それともあれか? またうまい飯を奢れってか?」
「いやーまぁ、うまい飯は当然奢って欲しいですけど、そうじゃなくてなんだか退屈なんですよねー。最近は彼のログインの頻度も低くなってしまって、ログインしてもユグドラシルの攻略だからどこか変わり映えしないんですよねー。かと言って他のプレイヤーたちは、彼を見た後だと良くあるパターンだな、程度にしか思えなくて……」
と、とても深刻そうな表情で彼女はそう言った。いや、内容とオーラが合ってない気がするんだが?
「つまるところ要約すると、暇ってことか?」
「はいっ!」
うん、体調は良さそうだな。病んでるとかそう言うわけじゃないなら良かった。まあ、後輩が病むなんて考えられないが。
「ん、彼の挙動がそんなにつまらなくなったのか?」
「んーいえそう言うわけじゃないんですが、私自身、こういったRPG的な攻略よりも、対人戦で敵を圧倒する、みたいな方が好きなんですよねー。だから、ユグドラシル攻略もいいけど、プレイヤーたちに災禍を齎して欲しい、って思っちゃうんですよねー。あわよくばピンチになって欲しいくらいです」
なんだか、屈折した感情を抱いてるな。
逆に私はRPG的攻略の方が好きなんだが、これは好き好き《すきずき》なんだろうな。でも最近は、彼女のように対人戦の方が人気なイメージがあるな。
どうしてもRPGだとみんなおんなじ結末になりがちだからな。
「だったら、彼をピンチにさせればいいんじゃないか?」
「はい? 彼をピンチにさせるですって? 魔王城でも爆撃してみますか? 多分それでも彼は平気な顔すると思いますよ?」
「まあ、その程度ならそうだろうな。だが、もっと良い方法がある。プレイヤーを魔王城に向かわせればいいんだよ」
「え、もっとおかしなこと言ってません? 今となっては魔王城なんて難攻不落過ぎて誰も近寄りませんよ?」
「だからこそだよ、こちら側でプレイヤーを強化してあげたらいい感じの戦いになるんじゃないか? 例えば、彼の配下に倒されたらそれに特効できるスキルの経験値を獲得できる、みたいにして」
「ふむふむ、今まで行った経験値アップ、とかじゃなくてもっと大胆にプレイヤーを強化するってことですね! 確かにそのくらいしないといけないかもですね、もう倒せないものとして認識されるのは勿体無いですし、バランス調整という名目なら良いでしょう」
「あぁ、それにもしかなり攻めたことをしたいなら、彼自身にも確認をすればいいからな。魔王はあくまでこちら側だ」
「こちら側なのに、敵を
ん、ちょっと待て後輩ちゃんがよくないモードに入ってるきがする。
「よし、魔王討伐イベント第一章『配下ランダム闘技場』を開幕しますっ!!」
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新章突入です!
ただ、こっちはマジで不定期になりそうです。二つのストーリー並行させるのって難しいですね…
なんか聞こうとしたけど思い出せないー
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