第414話 無限の強さ


「あれ、ちょっと待ってください。ここ、もしかして悪魔城じゃないですか?」


 うん、ちょっと待って欲しいのは確実に私の方だ。時間歩行の説明についてもよく分からなかったと言うのに悪魔のお城だって? いい加減にして欲しい。私はまだここに久しぶりに帰ってきたばかりなんだぞ?


 でもまあ、これこそがこのオフィスの日常だよな。久しぶりなら悪くない気もする。


「悪魔城? 悪魔城なら彼が攻略したんじゃなかったのか?」


「いえ、あ、いやそうなんです、そう以前彼は悪魔城を攻略していますけどここはそれとはまた別の悪魔城なんです」


「は? 別? 悪魔城って二つもあるのか?」


「いえ、四つありますよ」


「四つ!?」


 な、なんでそんなにたくさんあるんだ? お城ってノイシュバンシュタイン城、みたいな感じで固有なものじゃないのか? ってかそんなに悪魔っているのかよ。


「それで、その悪魔城で彼は何をしているんだ?」


「何をってそりゃ攻略に決まっていますよ、先輩。もう悪魔を先ほど手に入れたスキルで蹂躙しちゃってますよ? 例えばほら、この武神之構っていうスキルは敵の攻撃を全ていなして致死のカウンターを決めるというスキルです。もはや一対一の肉弾戦で彼に勝てる人なんていませんよ?」


 いや、元からそんなプレイヤーいなかったと思うんだが。むしろ一対多でも不可能だろ。


「それに見てください、この級水支配っていうスキル! この世界に存在するありとあらゆる水分を操作できるスキルですよ。これで空気中の水蒸気や、地中の水分、挙げ句の果てには敵の体内の体液すらも自由に操れれると言うわけです!」


 なんだそのチートスキルは。ってか、敵の体液を操るってグロいな。ん、そういえば、


「級水ってどう言う意味なんだ?」


 支配はその名の通り操ることなのだろうが、級水と言う言葉は聞き馴染みがない。水支配ではダメだったのだろうか。


「あー、それですか。それはあくまで恐らくですよ? 私の推測で話すのならば恐らく級数とかかっているのではないでしょうか?」


「級数?」


「はい。級数とは一定の法則に従って変化する数を、一定の順番にあるいは無限に並べた数列の和のことを指します。この説明の数を水に変更するとなんとなくその概要が掴めてきませんかね?」


 ん、つまり級水とは一定の法則に従って変化する水を、一定の順番にあるいは無限に並べた水列の和ってことか。最後の水列だけが良くわからんが、それも水がこの世界に存在する様、と考えれば納得がいく。


 つまりは、水だけに関して彼は神のような力を手にしたと言うことだ。


 そして、私たち人間は、そして我々が住む世界は水と密接に関係している。つまり、彼が本気を出せばこの世界を牛耳れると言うわけだ。


 ……恐ろしい。


 ん、ちょっと待てよ。そもそも彼は元から物凄く強かったよな? それこそ武力で世界を支配できるほどに。


 ……なら現状維持か。








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ちょっとハムスターには難しかったので級数の説明ミスってるかもですが、なんとなくでお願いします!!

私はどうやら理系ではないようだ……

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