第407話 急展
「しかし、やはりかなりの数のプレイヤーは換金目的でゲームを始めるのではないでしょうか?」
「まあ、それもそうだな。ではこうしたらどうだ? 換金開始を一ヶ月遅らせるのだ。まあ、正確には振り込みを一ヶ月、いや二ヶ月くらい遅らせてもいいかもしれない。換金をしても振り込まれるのにタイムラグがあればゲームの売上金をそのまま活用できる。換金者数が売上数よりも多くなることは不可能なのだから大丈夫だろう?」
「そうですね。ですが、タイムラグがあることによってゲーム内で物凄い金額を集められたらどうでしょう? それこそ廃人のようにプレイしたり逆にグループを作って鼠講のようなものが生まれるかもしれません」
「ふむ、だがそれらも別に心配するに及ばないだろう。ゲームの世界を牛耳っているのはこちらなのだ。こちらでいかようにもレートは操作できる。ゲーム内の1コインが現実の一円とは誰も言ってないからな。それに違法性が確認されればこちらが取り締まることも可能だろう」
「分かりました。ただ、レートが低いとなるとせっかくのRMT制度が霞んでしまいませんか? せっかく換金できるのにそれがしょぼいってなったらプレイヤー感情としては残念と思わずにはいられないのではないでしょうか」
「そうか……いや、それに関しても」
バンッ!
「先輩!」
突如、会議室のドアが開け放たれ、彼女が緊迫した面持ちでドアの前に立っていた。
「すまない、では今日の会議はここまでにしておこう。次の会議まではRMT制度の導入に関しては終えることができるだろう。引き続き世界の構築に励んでくれ」
「承知いたしました」
そう言ってミーティングを終了し、私は後輩へ向き直った。
「一体どうしたんだ、そんな慌てて。彼が悪魔城を攻略したのか?」
「い、いえ。私も彼がきっと攻略するだろうと思いながら見守っていたのですが、悪魔の城はかなりの難易度で彼にとっても厳しい戦いだったようです」
「ふむ、だが彼は負けないのだろう? 正確には死んでも死ななくなるまで死に続けるのだから決して負けないはずだ」
「はい、先輩の言う通りです。彼は死にませんし死んでも意味がありません。ただ、彼の従魔が死んでしまったのです」
「何っ!?」
従魔が死ぬ? 確かにそれは考えてもいなかったが……
「それは本当か?」
「そ、そりゃここで嘘つく必要なんてないですよ!」
彼の従魔が死ぬ、それ自体は別に特筆すべきことではないのだが、それを受けての彼の行動が読めない。従魔に対して彼はそれなりにしっかり愛情を注いでいたはずだ。そんな彼が大切な従魔を失う考えただけでも恐ろしい。
なんとか平穏な選択を取って欲しいものだが……
「分かったすぐにそちらに向かおう。これは一刻を争う事態かもしれない」
NPCの死は現実の死と何ら変わりはない。もしNPCを現実の人と同じように接していたとしたら、それは現実で人を失うのと同義になるのだろう。
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斗南の一人→リスポーンキル
※ボツ(リーサル・ウェポン、リスポーン地点)
最近読者の方と触れ合いたい欲が強い我
オフ会真剣に考えようかなー
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