第285話 ゾムきゅん
まあ、何はともあれどういう経緯で彼が死骸魔術を獲得したのかが分かった。そしてスライムとゾンビがマッドな実験対象になってしまったということも。
「ん、そういえばそのスライムとゾンビは全く別のモンスターになったのか?」
「はい、そうですよ。彼らはゾンビスライムとして新たな生を授かったのです!」
授かったのです! って、奪ったのも彼だろうが。それにゾンビスライムとはなんとも安直な名前だな。考えるのが大変だったのだろうか。
「それにしても奪魂と授魂によってそのゾンビスライムは生まれたんだろう? ならどちらかの特徴がより濃く反映されている、みたいなのはあるのか?」
「そーですねー。今回はゾンビの魂をスライムの体に入れる、という形になっておりますので、全身がスライムであることには変わりありません。しかし、心はゾンビですのでフォルムというか見た目は二足歩行になってますね。どちらの特徴がより濃いかと言われましたら……半々かな? と答えるのが精一杯ですね」
なるほど、比較的に綺麗に分配されているんだな。肉体は心から来るのか、それとも心は肉体から来るのか、その問題の足掛かりになりそうな事例だったが、結局の所、同時で影響も半々ってことなのだろう。
「もう一つ質問をしてもいいか? 今回は奪魂と授魂を用いて新たな生物を生み出したのだが、融魂を使ってゾンビとスライムの魂を融合させたらどうなるんだ?」
「んー、どうなるのかと問われれば合体する、としか言いようがないですが、ゾンビとスライム半々の魂ができるでしょうね。しかしそうなってくるとその魂を入れる器が必要になりますから、少なくともその影響を受けることになるでしょう。つまりは、そのやり方ですとゾンビスライムを生み出すことはできないということです」
なるほど、確かにな。スライムとゾンビの融魂を仮にスケルトンに入れたとしたら間違いなくスケルトンの影響を受けるだろうからな。……自分で想像しておいて物凄く気になったのだが、やってはくれないだろうか。
ゾンビの不死性、スライムの対物理性、スケルトンの骨性が組み合わさると一体どんなモンスターが生まれるのか非常に気になる。
「あ、先輩、ちょっとこれをみてください。これは先程撮影したものなんですが……」
そう言って後輩に見せられた映像はかなりショッキングなものであった。
それは先程から話題に上がっているゾンビスライムの映像だった。敵モンスターである狼にゆっくりと近づいていくものの、あまりのスピードの差に腕を噛みちぎられてしまう。
しかし、すぐさま腕を再生し再び敵の元へと歩き出した。その後も何度も何度も同じように腕を足を咬みちぎられたが全く臆することなく敵に接近する。こういったところはやはり心がゾンビだということが感じられる。恐怖を一切感じていないのだろうな。
だが、突如として異変が起こった。狼がパタリと倒れてしまったのだ。対するゾンビスライムは倒れているのにもゆっくりと近づいている。狼の体に何が起きたのか、その答えはすぐに分かった。
「
「そ、そうなんです! このゾンビスライムは心がゾンビですからやはり心も体も腐っているようで、恐怖心も感じず、さらに肉体にも腐属性味を帯びているようなのです」
それほどまでにゾンビの影響が出ているとは。それに加えてスライムの再生能力だろ? あれ、ちょっと待ったこれ、強すぎないか?
その後も倒れた狼を覆い被さるようにして食事をした。捕食機能もバッチリ付いているようだ。
「先輩、実はまだ映像のご用意があるんです!」
いや、いい。見たくない。そういえば良かったのだろう。そうすれば私が無駄な不安感に駆られることもなかったはずだ。しかし、自分の知的好奇心がいうことを聞かなかった。
後輩がこのタイミングで出してくるということは今みた映像よりもより凄いことが行われているはずだ。それをみない手段はないだろう。
しかし一つ気がかりなのは彼女の顔に隠しきれない喜びというか、楽しみというか、言葉にできない何かが潜んでいるのだ。
だが、結局は誘惑に抗えず見る羽目になってしまった。そしてそこに映っていた映像は……
——————————————————
いやー本当にゾムは強いですよねw
個人的に結構気に入っているおモンスターです!」
アイスといいゾムといい、幼さは時として残酷なものですね……笑
♡を押していただけるとうれしいです!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます