第222話 8
「あっ、えっ!? 彼、もう第二職業が開放されたんですけど! 第二職業ってこんなに早く解放されるものでしたっけ?」
第二職業、それはプレイヤーの可能性を無限大にするための仕組みだ。例えば、剣士という職業についていた人が魔法使いという第二職業を得たとしよう、するとその戦い方は全く別のものとなるだろう。
職業の数だけ組み合わせがあり、あえて第二職業を取らないという選択も生まれる。自分がどうなりたいのか、どんなことをしたいのかで全く違う路線に進むことができるのだ。
つまりは第二職業というのは掛け算であるのだが……
「え、彼もう解放したのか? ん、元の職業はなんだったっけ? それに今回はなんという職業になるのだ?」
「えー、元の職業は修行僧で今回はそれに料理人が追加されたことになりますね」
修行僧と料理人か。彼はこの掛け算である第二職業というシステムにおいて、より離れたジャンル、遠い職業の方がより新たな可能性が生まれる、ということを知っていたのだろうか?
例えばだが、先程の例のように剣士と魔法使いという二つの職業に就いたとしよう。だが、それだと魔法剣士という確かに強そうではあるものの、ありきたりなものになってしまう。
可能性、オリジナリティの観点からすると、なるべく普通なら交わり合わなそうな二つを選ぶのがオススメだ。
そして彼の場合、それを完璧にクリアしているのだ。料理人と修行僧はもはや対極にあるんじゃないか? 修行僧は断食とかするだろうし、そこまで料理に精通しているわけではなさそうだからな。
いや、待てよ。逆に修行する上で食事というものは大切になってくるよな? それこそ精進料理なんてものが生まれたのは坊さんからだ。ということは遠いようで意外と近いのか? もしかしてとんでもないシナジーを生んだりはしないだろうな。
「先輩、どうしたんですか? 顔色が悪いですよ?」
「あぁ、少しな。いやなに、修行僧と料理人の相性が意外にも良いのではないかと思ってしまってね」
「なるほど、ですがここで悪いお知らせです。あの婆さんが彼のことを気に入ったのか、彼のことを後継者として選び、彼は料理人から毒殺料理人へと進化してしまいました」
「は?」
「これで相性がいいかはもうよく分からなくなりましたし、そもそも、第二職業の一番の恩恵はそれぞれの職業スキルを手に入れてそれを統合することにあるので、彼の場合は一つ目の職業スキルを獲得できないので、特に焦る必要はないと思いますよ?」
「そ、そうか……」
職業スキルなるものがあったんだな。確かにそれの方が掛け算をよりわかりやすく伝えられるな、うん。
私が会議に参加していない時に決まったのだろうか。第二職業は私が大きく関わっていたと思っていただけに、うん、なぜか寂しいな。
「って、毒殺料理人!?」
「え、遅くないですか?」
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今回のタイトルの意味が分かったかもという方がもしいらっしゃったらコメントください。
個人的にはむちゃくちゃ難しいと思ってるのですが……
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