第200話 不調な先輩
「さ、流石にこれでもう、終わりだよな?」
「先輩……」
彼女が沈黙した。これはアレだな。まだあると見せかけて、これで終わりってことだな。
うん、そういうことだろ? 騙されないぞ、先輩を舐めるなよ?
「逆にこれで終わりだと思いましたか?」
「へ?」
「いや、だって彼のスキルの量を考えて下さいよ、いくらあると思ってるんですか! それらを統合するんですからまだまだあるに決まってるじゃないですか! え、先輩もしかして舐めてます?」
「うぐっ……」
完璧に言い負かされてしまった。しかも、私の脳内と全く同じ締めで、だ。
これは先輩としての威厳に関わるのだが、うん、そんなものもともとないし、彼女と張り合おうというのがそもそもの間違いなのだ。だから素直に受け入れよう。
「す、すまない……」
「え、なんで謝ってるんですか? 別に怒ってないですよ? それに私もまだまだある、って少し盛っちゃいましたし、気にしないでください!」
「え、盛った?」
「はい、まだまだは無かったです。次が最後ですよ!」
とうとう終わりを迎えたのか。長かったな。最後のスキルは本命ではないだろうから、気張らなくてもいいのはありがたいな。
「最後のスキルは魔闘支配、というものになります」
「まとうしはい?」
ん、なんか不穏な空気を感じるぞ? 本当に強くないのか? 信じるぞ、私は後輩の言葉を信じているぞ!?
「はい、魔闘支配ですね。元となったのは魔力操作、闘気操作、魔闘練気の三つのスキルですね。三つも使っただけあってなかなか強力なスキルとなってますね」
え、やっぱり強力なのか? 本命じゃないって言ったのに?
あ、もしかして本命じゃないってだけで普通に強いのか。そうか、そうだよな。だって今までの本命じゃないスキル達も余裕で強かったもんな、うん。
期待した私が馬鹿だったよ。
「魔闘支配の効果は、魔闘練気を完全に制御下におく、というもので、魔闘練気の扱いに長け、配分も自由に調節可能、とあるんですが、分かりやすくいうならば、体に魔闘練気がもの凄い馴染んで、魔力と闘気の割合を自由にできる、って感じですね!」
うむ、分からん。とにかく強そうだということは分かった。
ただ、これで無事選定の儀式が終了したということは分かった。もう、彼は強くなりすぎだ。
自重させたいのだが、どうやってさせればいいのだろうか? 誰か教えてくれ。
それに私は彼をこちら側にも引き込まなきゃならんのだ。もう、肩の荷は重くなるし、胃は痛くなるしで、勘弁してくれよ全く。
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