第195話 彼の強さの所以
とうとうこの時が来てしまったのか。
彼の唯一の弱点とも言える、魔力量の少なさが、この無限魔力によって補われてしまう。
ただでさえ、魔力が少なくても強すぎたのが、無限の魔力を手に入れたら一体どうなってしまうのだろうか?
想像したくもないし、恐らくその想像ですら超えていくのだろうな。
「ってかこれ、この研究所の爺さんですら、強すぎないかと疑問を提示してますよ? これおそらくやっちゃいましたね、はい」
いやー、コレは想定外にもほどがあるだろう。
まず、第一のイレギュラーとして、彼が帰らずの塔の裏ボスである悪魔を見つけて倒してしまったことだろう。まず普通にコレが今の段階で発見されているのがおかしすぎる。
そして、第二段階としてこの悪魔関連の施設を彼が解放してしまってる、ということだ。それによって心臓からのスキル抽出という、それこそ悪魔的な所業が可能になってしまっている。
この二つを同時に満たすことができるのなんて彼しかいないだろう。もう、確率をどうこう言う間もなく彼しかいない。そして彼はこのチャンスをしっかりとものにしていっているのだ。
もう、ほんっとに彼の成長速度はおかしい、常軌を逸し過ぎている。もう、彼を悪魔の頂点なんかに君臨させても良いかもしれないな。
現時点では流石に無理かもしれないが、どうせそのうち悪魔を束ねられるくらいには強くなっていることだろう。
「あ、まずいですよ先輩、研究所のおじさんが彼にスキル選定についての情報を与えてしまいました。ここら辺の情報のフラグってどうなってるんですか? どちらにせよ、コレは少しまずいですね……」
「スキル、選定……? なんだそれ」
「え、先輩知らないんですか? スキルを統合させてより強くしてくれるシステムですよ! 意外な組み合わせで強くなったり、同系統を組み合わせてさらに強くしたり、その可能性は無限大なのです!」
「そ、そうなのか」
「はい、しかも選定は当たり前ですが、母数が多い方が強くなる可能性が大きいですからね。そして彼はこのゲームの中で最も母数が大きい人なんじゃないですかね?」
元から強い人がさらに強くなっていくシステム……なんてこの世は理不尽なんだ、平等ではなく格差を生み出す世界……
いや、まあそれがゲームというものなんだろうが、それにしても今になってようやくことの重大さがわかってきたぞ。
彼の膨大なスキルたちが、纏められ、統合されて強化される。そして、母数はたくさんあるから、失敗なんてしようもない、むしろ大成功が起きる確率の方が高いだろう……
「ちょっと、夜飯を食べてくる」
「え、何食べるんですか?」
「蕎麦だ」
「えーなら良いやー」
胃が痛くなった時は、物理的に食べ物を入れることで紛らわすことが大切なのだ。
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