王様の独白

斎藤遥

 久しぶりだね、百合。


元気かい?


僕はちょっと元気ないんだ。


愛する人が奪われてしまったからね。



 クスリがなくて大丈夫かい?


とても心配で夜も眠れないよ。


一応、1日分添付しておいたからね。


あっ、でも君は1人で飲めない子だったね。


まずは僕が飲み込んで


僕の唾液と唇でサポートしていたから。



 どうしよう


今すぐに君の元へ行ったらいい?



 なんで君は怯えているの?


僕らは愛し合っていたじゃないか。


忘れたのかい?


ああ、クスリを飲まなくなったから狂ってしまったのか。


かわいそうに。


だから、僕から離れちゃいけないって言ったんだよ?



 しょうがない。


馬鹿になった君のために、自己紹介するよ。


1回しか言わないから、ちゃんと聞いてね。


僕は篠原リュウ。


またの名を……キング。


思い出したかい?


君を飼っていた主さ。




 どうして震えているんだい?


寒いから?


ああ、嬉しいのか。


そりゃあそうさ。


君を一番大切にしていた僕がまだ忘れていなかったんだから。


僕が直々に連絡をするなんて……本当に君は恵まれているよ。



 本当は君を自分で助けに行きたいところなんだけどね。 


すぐには出来そうにないんだ。


まずは君を僕から奪ったあいつを始末しなきゃいけないから。


そして、君を壊してしまいそうなんだ。



愛しくて


愛しくて


愛しすぎて


君をメチャクチャにしてしまいそうだから。



ああ、でもそうした方が君はもっと美しくなるかもしれないね。


うふふ


あはは


想像しただけで笑いが止まらないよ。

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王様の独白 斎藤遥 @haruyo-koi

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