メガネ・コンタクト戦争3

「委員長はいつ頃からメガネをしてるんだ?」


「そうだなあ。確か~中学一年の頃だったか」


 鯖江の質問に顎に手をやって想い出す小野坂。


「思春期にメガネ適正が顕現することはよくあることだ」


「メガネ適正ってなんだそりゃ」


「ああ。別に悪く言ってるわけじゃない。むしろ御眼鏡にかなったわけだ。委員長はメガネに選ばれし者なのだ」


 鯖江は真剣な表情で語った。


「いや選ばれたというより、ただ単に視力が落ちただけなんだが。というか適わなかったほうが良かったけどな~」


「昔からこういう言い伝えがある。『選ばれし者、メガネ掛けるそのとき、力開眼せり』と」


「・・・まあある意味視力は良くなったけどな」


「な~にが言い伝えだよ」


 二人のところに水谷が入ってきて鯖江を馬鹿にしたように見て言った。


「開眼なんてもんじゃねえのさ。矯正っていうんだよそれは」


「水谷ぃ・・・」


 鯖江も憎々しげに水谷を睨みつけるが、鼻を鳴らしてから水谷を見下すように


「ふん。どんなにお前がコンタクトしようが委員長はメガネに選ばれし者。もはやお前の言うことは負け犬の遠吠えにしか過ぎんのだ」


「へえ。そうやって余裕メガネこいてるとそのうち目元をすくわれるぞ。なんせ視力は悪くなるんだ。替え時にコンタクトになってるかもしれないぞ」


「委員長に限ってそんな目移りみたいなことはないな」


「ま、せいぜい見守っておくんだな。そのうちに見限られても知らないぞ」


 水谷はそれだけ言って行ってしまった。鯖江は警戒した様子で


「委員長もくれぐれも気を付けてくれ」


「なにをだよまったく・・・」

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