【peer小説:β版】なんでこうなった?

木沢 真流

第1話 なんでこうなった?

 ここは……どこだ?

 気だるさと痛み。まるでぱっかりと大きく開けた口、そこにぼんやりと現れた視界の先には一つの顔があった。

 大柄な体格にプロンズの髪。鋭い目つきにはいらだちが溢れていた。

 だれだ、こいつは。


「おい、寝るんじゃねえ、起きろ」


 その言葉と同時に、私の視界が大きく右へ傾いた。少し遅れて左頬に鈍い質感が宿る。血の味がした。


「お前が喋らなくても他にもいっぱい候補はいるんだぜ、もし喋ったら逃がしてやる。同じことをなんども言わせるな、ったく」


 その後再び視界が揺らぐ。

 どこかを強打されたようだが、それがどこかもわからない。

 男が私の顎を持ち上げた。


「そろそろ終わりにしてくれねえかな。さっさと吐けよ、碧色へきしょくの翼の場所をよ」


 碧色へきしょくの……翼? 私は純粋に言葉を反復しただけだった。本当に知らない、それどころか私は誰で、なぜ今こんなところにいるのか、それすらもまだ把握しきれていない。


「まーだ、しらばっくれるのかよ。あーあ、もうダメだ。おい、こいつはもういい、他の奴にしろ」


 はい、という威勢の良い返事が聞こえた。

 その後、もう処分していいということでしょうか、という声も。


「ああ、好きにしろ」


 はっ、という返事。すぐさま別の顔が私を覗き込んだ。

 先ほどの男はすでにここを離れたようだ。別の男は最後に私の顔を確認した。


「すまんな、悪く思うなよ」


 その質問に、はい、ともいいえとも答える間もなく、私の視界が一瞬にして閉じた。


 次の瞬間、私は空を飛んでいた。

 いや、あの鳥のように優雅にではなく、飛び散る、に近い感触だった。

 縛られながらも、どこか遠くに飛ばされている、それだけはかろうじて理解できた。顔に凄まじい爆風と、小さなチリが飛びかかる。それを払うにも後ろに固定された両手が自由を奪う。


 どん。

 激しい衝撃が私の背中と尻に生じた。小さな骨がいくつか折れたかもしれない、それくらいのエネルギーは少なくともあった。


 何が起きたのだろう。

 少なくとも私がこうやって思考を働かせているということは、あいつらは私の生命を奪うことには失敗したようだ。だがそんなことはどうでもいい、ここはどこだ? 私はうっすらと目を開けた。


 先ほどの男はいなかった。

 いや、男というより人がいない、正確には人がいた気配すらなかった。

 そこはだだっ広い草原、青空。時折背の低い草木がぽつんぽつんと霞む。

 私の周りには生物の感触が全くなかった。

 気づけば私の手足は自由になっていた。全身の痛みはわずかに残るだけで、ほぼなんともない。

 今のは何だったんだろうか。

 私は今目の前にあること以外、何一つわからない。

 私が何者で、どこから来て、そしてどこへ向かうべきなのかも。


 ただ何故だかわからない。

 この言葉だけは私の心の底から、強く強く、その鼓動を打つことを止めなかった。


 時間がない、早く碧色へきしょくの翼を守らねば——




 私の周りには何もない。

 ただこういう時に限ってこのだだっ広い草原に、思いもよらないが訪れる、それだけは何となくわかる。

 それが猛獣なのか、人なのか、生物でない何かなのか。全く見当もつかないが、それが何なのか、心の声読者様のコメントに聞いてみよう。私は心の声読者様のコメントに耳を傾けた。



(このようなシチュエーションでどのような者(物)の登場をイメージしますか? もしくは期待しますか? 自由にコメントをどうぞ!)

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