一日目⑨ 記憶の中

 起きた時、ベットの上にいた


 そういえば自己紹介がまだだったかもしれない…


自分は八瀬……


これ、どこかでしたことがあったような…


気のせいだろう


 いつも通りだと思うはずなのだが、何かが違う


さっきまで、まるで別の場所にいたかのような錯覚に陥る 


それに、たったの10分しか経っていないのが、更に不安を煽る


自分が布団にもぐる前に、ふと見たときには


確か10時くらいだったはず


眠っていた時間が、いつもよりも明らかに早かったと思う…


いつもなら、この時間くらいから徹夜でゲームをするはずだった


だから、習慣として体が覚えている



 そういえば…


風呂に入ったときに…痒かったのを思い出して…


を飲んだんだっけ?


そういえば今は痒くない…


試しに上のパジャマを脱ぐと…


じんましんの跡がきれいさっぱり無くなっている


確か、薬を服用してから30分くらいで眠くなって…


最後に時計を見たのが10分前


薬を服用してから大体40分


そんな短時間で治るものなのか?


あれって眠って治すような薬じゃなかったっけ?


久しぶりに服用したから何とも分からなかった


まさかと思うが12時間寝ていた、なんてことはないよな…


それか、一日中寝ていたとか…


と思ってパソコンを開いて日付を確認した


 大丈夫だ


同じ日付だ


それなら、ここから一日中ゲームでもするか


いつもみたいに


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


一時間後…


「いったん休憩するか」


誰にも聞こえないような独り言をぽつりと漏らす


聞こえたところで独り言なのだが…


休憩のため、下の階へ降りて、お菓子の補充をする


ついでにコーラを片手に


 

 と思ってベットを降りた時だった


バタッ…


一瞬、立ち眩みがして、床に倒れたらしい


「痛っ」


予期しない形で倒れたので、手もつくことができず、


うつ伏せ状態になった


とても痛かった


その衝撃だったのだろうか


重大なことを覚えているような…


 ラノベを消費している人が憧れるようなことを…


『異世界』、『勇者』、『魔王』、やる気のない声……


思い出せ…


「異世界召喚だ!!!!」


そう、それはあまりにもリアルすぎる夢のような話


妄想ととらえられてもいいかもしれない


 でも、僕にはがある


「そういえば…最後に持っていた!…あれを…」


そう言って、ベットに戻ると、を必死に探した


そう、あの紙だ


多分、普通だと、隠したいと思うような

自分の中の『黒歴史』に残るかもしれないような

妄想で済まされそうなヤツ

何で異世界なのに日本語で書かれているのか

分からないし、普通、召喚した人が語るであろう物語


「あった…」


それは、ベットの上においてあって、

丸っこい文字で

『私たちのあらすじ』

と書かれていた


やはり異世界にいたようだ


もう一度戻りたい

ゲームで言うところの

『チュートリアル』のようなところで終わってしまった

異世界に


まだ冒険とか一切してないし!

頼むから!





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