yourdiary_短文SS

@mattya-dayo

GW


 五月一日。ゴールデンウイークだというのに世間は暗い。

 ピピピと音がして、俺はスマートフォンに来る通知を気だるげに確認する。

『GWはガマンウィークの略です。決してレジャースポットなどに外出せず、自宅にて謹慎しましょう』 

 ベッドから起き上がりもせず俺は県知事からの通知を確認すると、ソファーの上に俺はスマホを放り投げる。

「な~にがガマンウィークじゃ。ゴールデンウイーク、社会人になってから初めての長期休暇だったんだがなぁ」

 俺はため息をつく。せっかく先月頑張ったというのに、これじゃあ五月病どころの話ではない。

 どうせなら初任給の退勤でパラダイスを満喫したかった。

 俺は放心状態で天井を眺めていると、俺の部屋のドアが開いた。

「おはろ~ございます、友樹さん」

 入ってきたのは天使のゆあだ。いつの間にか俺のそばに来ていたようだ。

 パジャマ姿で、いつものピンをつけていないため艶がある髪が垂れ下がっている

「友樹さん、元気なさそうです……」

「ああ、どこも行けなくて退屈だからな」

 ゆあは上目遣いで俺を心配してくれている。子犬のようにその瞳は大きかった。

「ゆあが、元気づけてあげます。ゆあがあなたの一週間をゴールデンに変えてあげます!」

 ゆあが俺に抱き着いてきた。

 俺はよしよしと彼女を撫でて、ベットから起き上がる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る