第56話
マコッチはニャーネルさんからネズミのぬいぐるみを受け取るとニマニマとした笑みを浮かべた。
対するニャーネルさんもにんまりとした笑みを浮かべている。
なんだか、ちょっと怖いような気がするんだけど。
マコッチはニマニマしながらネズミのぬいぐるみをぎゅっと一度抱きしめてからオレに向かって差し出した。
「はい。エンディミオン様受け取ってください。」
「えっ?」
やっぱりオレが受け取るの?ソレ。
ってか、マコッチはオレと本当に恋人になりたかったのか・・・?
別に恋人にならなくても、マコッチとオレの関係は変わったりしないのに。
「・・・受け取ってくれないの?」
マコッチがうるうると目に涙を溜めはじめる。
「うっ・・・。」
思わずマコッチの涙に動揺してしまった。
どうしてか、マコッチの涙には弱いんだよなぁ、オレ。
っていうかさ、倫理的にどうかと思うんだよな。
既にオレ、ミーシャさんと恋人になっているし。
これ以上恋人が増えるのもちょっとなんだか人としてダメなような気がするんだ。
それに、なぜかエリアルちゃんやニャーネルさんとも恋人になっちゃってるし。
このままマコッチまで恋人になってしまったらオレ、4股かけてることになるじゃん。
すでに3股なんだから今更4股になったところで変わらないじゃんとかは言わないで欲しい。
できれば恋人は一人にしたいのだから。
「受け取ってよ。エンディミオン様。」
マコッチは涙を目に溜めながらズイッとオレにネズミのぬいぐるみを押し付けてくる。
オレはマコッチの涙に混乱してネズミのぬいぐるみを受け取ってしまった。
って、あれ?
確かにオレはネズミのぬいぐるみをマコッチから受け取ったはずなんだけど、ネズミのぬいぐるみはまだマコッチが持っている。
おかしい。
確かに、手にネズミのぬいぐるみを持った感触があったんだけど・・・。
「あれ・・・?」
マコッチもオレと同様に首を傾げている。
もう一度マコッチがオレにネズミのぬいぐるみを手渡す。
オレはそれを今度は拒否らずに受け取る。
「・・・あれ?」
「・・・あれ?」
「ぷっ・・・。ふふっ・・・うふふっ・・・。」
ネズミのぬいぐるみはまたしてもマコッチの手元に戻ってしまった。
わけがわからず顔を見合わせる、オレとマコッチ。
そんなオレたちの姿を見て、耐え切れないとばかりにニャーネルさんが噴き出した。
まさか、この現象はニャーネルさんの仕業なのだろうか・・・?
「・・・ニャーネルさん?」
思わずニャーネルさんをジト目で見てしまう。
マコッチもこの現象にニャーネルさんが絡んでいると思ったのか、ニャーネルさんのことを凝視している。
「んー。ひんと、そのいちー。マコッチさんの交友関係をみることー。ふふふっ。」
やる気なさげにニャーネルさんがオレたちに言う。
マコッチの交友関係がなんだというのだろうか。
オレとマコッチはマコッチの交友関係を確認した。
・・・ん?
・・・あれ?
そこには信じられないような記載があって、思わずオレは目を擦った。
マコッチにも見えているのだろうか?
そう思ってマコッチを見ると、大きな目をパシパシと瞬かせている。
うん。
どうやらマコッチも信じられないものを見たようだ。
「・・・ニャーネルさんが・・・私の、恋人・・・?」
マコッチが呆然と呟く。
その声はとても小さいものだが、オレにもちゃんとに聞こえた。
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