第10話

 


 


「なにしに来たんだろうな。マコッチは・・・。」


「きっと、エンディミオン様が心配だったのですね。ゲームを始めてすぐにエンディミオン様に私という恋人ができたことが心配だったんだと思います。(きっと、マコッチさんはエンディミオン様が好きなんだろうなぁ。今は友達だけどいずれは恋人になりたかったのかもしれないわ。)」


言うだけ言って帰ってしまったマコッチに対してため息をついた。


それを、ミーシャさんがマコッチのことを優しくかばってきた。


ミーシャさんってば、本当に優しいんだから。


思わずミーシャさんの優しさに感動を覚えた。


そうして、初めてできた恋人がミーシャさんのような優しい女性でよかったと心から思った。


「ミーシャさんって優しいんですね。マコッチもきっとミーシャさんの優しさが伝わって、安心してくれるといいな。」


「ふふふっ。ねえ、エンディミオン様。だからミーシャって呼んでください。なんか他人行儀な気がしてきます。(なんでマコッチさんにはため口で私には丁寧語なのかしら・・・。距離を感じるわね。)」


「す、すみません。気を付けます。」


なぜだろうか。


なんだか、ミーシャさんを敬称なしで呼ぶのはちょっと抵抗があるんだよな。


ミーシャさんの言動が大人っぽくて年上に思えるからかな。


「ほら、私にもため口で、ね?」


ミーシャさんは小首をかしげながらお願いしてくる。


オレはミーシャさんの表情にドキマギしながらコクリと首を縦に振った。


・・・オレの顔、赤くなってないよな?


「ふふふ、本当にエンディミオン様は好感が持てますね。私、エンディミオン様と恋人になれて幸せだわ。」


そう言ってミーシャさんはにっこりと笑った。


笑っているミーシャさんって本当に可愛くて綺麗だよなぁ。


にっこり笑うミーシャさんを見て、オレはポーッとなってしまうのであった。


 


 


 


 


☆☆☆


 


 


 


「さあ、レベルを上げてしまいましょう。目標は今日中にレベル5になることね!」


ミーシャさんはそう言って気持ちを切り替えてきた。


オレも早くミーシャさんに並べるくらいのレベルになりたいので異論はない。


むしろ、ミーシャさんよりもレベルを上にしたい。


無理な話かもしれないけれど今のままのオレはまだまだレベルも低くてスキルもなにも持っていない。


ミーシャさんの恋人に相応しいくらいのレベルに早くたどり着きたいくらいだ。


それには、ゲームをする時間を増やさないといけないな。


と、言っても学校へ行っている間は睡眠時間を除いてずっとゲームをしているのだが。


どうやったらレベルが早く上がるのだろうか。


いろいろ検証してみないといけないな。


「じゃあ、ゴミ拾い開始します。ミーシャさんは好きなことをしていてください。」


「・・・敬語。」


おっといけない。


どうしてか敬語になってしまう。


ミーシャさんはそれに目ざとく気づいて教えてくれた。


ため口で話すっていうことは意外と難しいんだなぁ。


マコッチなら平気なのに不思議だ。


「まあ、いいわ。そのうち慣れてよね?私はちょっと落ちるわね。今、引っ越しの準備をしているのよ。それでちょっと忙しくって。」


「そうなんですか。あの・・・引っ越し手伝いましょうか?」


「むぅ。また敬語・・・。引っ越しっていってもゲーム内での引っ越しじゃなくって現実世界の方だからね。エンディミオン様がどこに住んでいるかもわからないし、大丈夫よ。業者に任せるし、必要だったら弟に頼むから。」


どうやらミーシャさんは近々引っ越しをするらしい。


それに弟さんがいるってこともわかった。


引っ越しをするというのはなんでなのだろうか。


大学生になるから引っ越しをするのだろうか。


でも、それにしては時期があわないか・・・。


ん?ということはもしかして、ミーシャさんって社会人?


え?オレと結構離れてるとか?


やっぱため口って無理じゃないか・・・。


「あの・・・もしかしてミーシャさんってオレより年上ですか?」


思わず口をついて言葉が出てしまった。


年上だから恋人が嫌だとかそんなんではない。


むしろミーシャさんはオレにはもったいないくらい性格が良いし。


「むぅ。年上だったら、私のこと嫌いになる?(えっ?エンディミオン様ってば結構しっかりとしているように見えたから私と同い年か私より少し年上だと思ってたけど違うの・・・?)」


「いえ!嫌いになんてなれませんよ!それよりオレの方が年下でショックじゃありませんか?」


「そんなことありえないわ!エンディミオン様がエンディミオン様だから好きになったんだもの。(知り合ってすぐに好きになった。なんだかずっと昔から一緒にいたような気がしたんだもの。年上とか年下とか関係ないわ。)」


「なら、よかったです。」


ミーシャさんはそう言ってにっこりと笑った。


その笑顔が誰かの笑顔にそっくりだったような気がするのだが、誰の笑顔なんだろう。


まあ、いっか。


でも・・・ミーシャさんの弟さんと同い年だったり弟さんよりオレの方が年下だったりしたら、もしかしてオレ、弟扱いされちゃったりするのかな。


うぅ。ミーシャさんの弟さんの年齢っていくつなのだろうか。


そう思ったが、今はまだ聞くだけの勇気がなかった。


「エンディミオン様、今日は何時までインしているのかしら?」


「えっと、明日も学校なので23時頃までですかね・・・。」


本当はもっとインしていたいけれど、本業を疎かにするわけにもいかないし。


「えっ!?エンディミオン様って学生だったの!!(もしかして弟と同い年とか弟より年下だったりしないよね?)」


「あっ・・・。ええ、そうなんです。」


ああ・・・。オレとしたことが、自分から学生だとバラしてしまった。


思ったより年下でミーシャさん驚いているかな・・・。


 


 


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