第5話



「……はい……はい……ほら、中継始まるよ! 本番とう秒前……八……七……六……五……四……三……(二・一・キュー!)」


『はい、わたくしはいま△×区にあります、区立公園に来ています。ここには……見てください、こうして公園の中央に立派なトチノキの大木があるんですね。樹齢はなんと、百年とも言われています。


 人間と同じで高齢になると、樹木も病気や老化が始まるといいます。ある年のことでした。腐って倒れてしまうおそれがあるという理由で、区の担当者が公園からこの木を撤去すると発表しました。


 ところがその計画は、区民の方々から集まった数多くの反対の署名で、樹木の延命治療へ方針を転換することになりました。


 その結果……見てください! このトチノキは見事に再生し、こうして今も区民に安らぎの場を提供しています。


 それにしても、どうしてこの大木は皆さんに、そんなに愛されているのでしょうか? その理由について、この近所にお住まいのおばあちゃんに聞いてみましょう……』





(琥珀色の涙    おわり)

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