第16話 豪邸
今、俺がどこにいるかと言うとすごい豪邸にいる。この豪邸はセントさんが前に住んでいた家でセントさんの紹介とのことで少し安くしてくれるらしい。
まず驚きなのが家に入る前から見えていた広い庭。テニスコート2面分くらいはありそうだ。家の中に入ると広い玄関がお出迎えしている。こんな家入ったの初めてだ。部屋が10部屋もあり、一つ一つがまあまあ広い。それに日本人ならみんな大好きであろうお風呂があった。大きなリビング、そして地下室まであった。地下室は作業部屋になっており、セントさんが住んでいたこともあり必要な道具はほとんど置いてあった。これなら生産ギルドの作業室に行かなくてもここで仕事ができるから嬉しい。
まぁそんなこんなで家を全部見て回った。だが問題は値段だ。
「それでこの家はどれくらいするんですかね…」
恐る恐る聞くと元は白金貨50枚のところをセントさんの紹介と言うことで白金貨40枚でいいと言われた………うん、足りない。元々持っているお金と昨日の白金貨25枚を足しても白金貨30枚には届かない。こんないい家に住んでみたいけど諦めるしかないか…と思いいったん生産ギルドに戻った。
セントさんにこのことを話すといろいろ迷惑かけたから貸してあげるよと言われた。タロウ君はりんご飴の収入もあるしすぐ返せるだろうと言うことで貸してくれた。さすが元Sランク冒険者で生産ギルドのギルマス。ぽんと大金を貸せるくらいお金持ちだった。
ちなみにセントさん、今はあの家よりも一回りデカい家に住んでいると言っていた。恐ろしい。
「それで掃除とかはどうするんだい?あんなデカい家だからひとりじゃ大変だよ?」
あ…そのことを考えてなかった。ついお風呂と作業室を見て勢いで買ってしまったがそういう問題を見落としていた。
「セントさんはどうしているんですか?」
「僕はお金があるから執事とメイドを雇っているよ、でもこういう場合は奴隷を買うのが一般的かな?」
うーん…奴隷と聞いて日本人としてはいい印象を持ってないがこの世界だと一般的らしい。奴隷ならかなり安く済むとの事。
「でも今はどっちも無理ですね…少しの間は1人で頑張りますよ(涙)」
俺が困っているのを見てセントさんが大爆笑している。ぐぬぬ…
俺は買った家に戻り作業室に入る。お金を返さないといけないからしばらくは頑張らないと。あと奴隷を買うためにもね…あぁー!忙しい!
タロウはいつもより仕事に真剣に取り組んで数ヶ月ぶりのお風呂に入って眠りについた。
平凡な26歳、異世界に連れてこられた 鷲 @bigroad0927
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