人間が最低階級の異世界に、最強国家の王として転移してしまった様ですが。

橋口むぎ

プロローグ

「そろそろ時間じゃ…」

ある晩。だっだ広い部屋。

一人の老人が多くの者に囲まれる中、長い長い人生という名の冒険を終えようとしていた。

「王様…!そんなっ…!お別れなんて…」

「ううっ、国王様ぁ…」

エネルギーの溢れていそうな者と、対照的に気弱そうな二人の少女が大きな声で同じく泣き崩れる。

「そう泣きなさんな…、わしの後継者などすぐにでも出てくるわい…」

「そんな…。あなたを超える実力を持つ者など、この世界には…」

「そうですよ…、最強を豪語してきた我でもあなた様には…」

力が溢れる者と魔力が溢れる者もまた、涙を押し殺す。

「ほっほ…確かにそうかもしれんのぉ…。じゃが、お主ら七剣星に白亜もおる…、そう簡単にこの国は堕とされんわい…」

「そう言うわけでは…、白亜様はともかく僕ら7人の力を合わせたとて国王様には遠く及びませんし…」

見た目とは裏腹に大きな実力を持つ者。

「良いか、よく聴くんじゃ…。これから最後の国王命令を行う…!」

「⁉な、何なりとお申し付けください!」

周りの者はその突然の国王命令に耳を傾ける。

「後継者は、わしの愛猫のミーシャに任せてもらいたい…。ミーシャほどわしのことを知り尽くしている者はおらぬ…。さらにミーシャには持つ潜在的能力や魔力を感知する能力がある…。必ずやわしと同等以上のものを見つけてくれるはずじゃ…」

「ニャーオ…」

「お主ら七剣星の中から選ばれるかもしれんし、はたまた初めて会うようなものになるかもしれん…。不安じゃろうが大丈夫じゃ…。わしとミーシャを信じて欲しい…」

「国王様がそういうのなら…、承知いたしました」

「すまんのぉ…、本来ならそなたらわしが七剣星から次の王を決めるのが一般的じゃが、もうそんな力も残っておらん。」

「とんでもございません国王様。メラクの名において、必ずや新しい国王もサポートしていきます」

知力の溢れる者についで6人が各々の名において、同じく宣誓を行った。

「頼もしいのぉ…。あとは白亜よ、頼んだぞ」

「はい国王様。最後の国王命令、しかと承りました。」

「では、わしもそろそろ…行ってまいる…」

「「「国王様っ…!」」」

「どうぞ安らかに、国王様」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「はあ~明日は1限からか…、しんど…」

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