手臣糸色
内面から溢れ出るもの。赤くて温かいものじゃない。残酷で冷たくて無色でか弱くて何も匂わない。何も言わない。扉が開くたび何かを失う。
二枚の扉、二つで一つ。こんにちは。晴天ですね。雨ですか。大きなカゴに揺られながら、今日はどこへ行くのですか。小さなカゴで僕のところへ登ってくる。高くて狭くて暗くて上なのかな、下なのかな。冷たい金属が熱くなる。塗装の剥がれた街並みに、煙を蒸して息をする。
足音と小さな扉の向こうに並んだ靴。暗くて、うるさい。うるさい、うるさい頭の中に入ってくる。うるさい。渡される。価値がわからない。振り返る。毛皮を剥いでも血は出ない。代わりに汚い汁がどばって溢れ出る。
薄い紙切れを持って走る。足の裏に冷たい金属を感じる。ここはずーっと冷たい。薄い紙切れを持って走る。冷たい金属の上。始まり。
滝がそこにはあった。流れ出るのは汚い水。同じ世界。遠い向こう。磨りガラスの向こう側には悪魔がニコニコ待っている。
わずかな抵抗。水で慣れた。溢れ出すまで、溢れ出すまで、溢れ出る、感情、激動、激情。白熱した、熱中、荒い息。
溢れ出るのは残酷で温かくて濁った汚い感情。見つめ直すのは自由。人生のようにそこに捨て去る。落ちる落ちる。命。たくさんの命。落ちる。どこまでも。
小さいかごへ乗ってさようなら。大きいかごへ行ってらっしゃい。明日はきっと変わらない。それ以外は全て変わる。
こんばんは。初めましての
今日の感情
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます