復習の始まり

最悪だ…。


あんな事があった直後に教科書の読み合わせを佐倉とやれだって…?冗談じゃない…。


はぁ、先生も鬼だな…こっちの気も知らないで…。


でも授業だししょうがない。

割り切って読み合わせするか。


「佐倉…。どっちから読む?」


佐倉は何も答えなかった。


「あ、じゃあ俺から…えっと、春はあけぼのようよう白くなりゆく山際…」


「…夏は夜。夕日の頃はさらなり。」


…よかった読んでくれた…。





「はい、全員読み終わったようですね。では、相手にアドバイスをし合いましょう。良いところ、悪いところ1つずつ言い合いましょうね。」


いやほんとに鬼だなこの先生!!

お願いだからやめてくれ!!!!


「えっと、、まぁ良かったと思います…。」


俺がそう言うと彼女はそっぽを向いたまま言った。


「裏切られた気持ちになった。ほんとに不愉快。

あなたは私のものだったのに別の女のせいで優斗くんは汚れたの。だから私は私以外の女と話すのが嫌だったのよ。」


「…。」


「…。」


「俺、なんていうか…佐倉の気持ちに応えられない気がする…。加藤だって友達だし、全く喋んないとか無理だし、ほら、佐倉モテるからもっといい人…いると思うし……。」


「それ、私が佐藤くんの事本気で好きってわかってるのに言ってるの…?」


「えっ、いや…。」


「最低。」


「…っ………。」


どうしよう、なんて言えばいいんだろう。


「もうあんたなんて好きに悪魔とでも加藤やらとでも勝手に付き合いたいなら付き合えばいいのよ。

…私、佐藤くんと別れてあげる。」


「え……。」


「おい、佐藤、佐倉おまえらなに話して…」


「先生!!!」


「お…?どうした佐倉。」


「先生、佐藤くんと私の席を離して下さい!

彼、最近私にしつこいんです!

別れたいって言っても別れさせてくれないし、

ストーカー…みたいな事も……。」


「佐藤、本当なのか?」


「えっ…そんなこと…。」


周りは最低ーとか佐倉かわいそーとかそういう声ばかりだ。でも、このまま濡れ衣着させられてたまるか。


「そんなこと…してません!!」


「嘘!さっきまであれだけ…ぐすっ」


佐倉!!あいつ泣いてやがる!!!

こぇぇよ!女こえぇ!!!!!


「いやほんとに俺は…。」


こんなん俺が周りで見てたら絶対佐倉が被害者だと思うだろうな。


「ちょっと待って下さい先生!

佐藤はそんな事するやつじゃ…。」


加藤!おまえ!!俺の事かばって…!


「先生!あの2人、グルなんです…前だって加藤さん、私の事殴って…。」


加藤はそれを聞いて何も言えなくなった。


「…とりあえず今は授業中だ。2人は前の席に座って、授業が終わったら職員室へ来なさい。

佐倉…よく言ったな…。気持ちが落ち着かなければ保健室にでも行っていいぞ。」


先生も佐倉の味方か…。そりゃそうか、あっちは泣いてるか弱い女子1人だからな。


こっちの男と若干不良っぽい女がいるんじゃ勝ち目はない。




この出来事をきっかけに俺の生活は地獄へと変わった。さて、明日はどうなるんだろう…。


この教室の中、心の中で笑っていたのはただ1人佐倉だった。無論、表面では泣いていたんだけども…。

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