ケンカ
放課後、俺は職員室に寄ってみっちり叱られてからスマホを渡された。
でもこれだけ怒られても自分が悪いという気はしなかった。むしろ佐倉のせいでこれだけ怒られてるんだと思うと無性に腹が立った。
俺は教室に荷物を取りに行ってから帰ろうとすると、佐倉が待っていた。
「なん…」
「もちろん待ってたのよ。元はと言えば私のせいだし…。」
「あぁ…。」
なんだよ。さっきまであんなにイライラしてたじゃないか。なのになんで怒れないんだよ…。
「ごめんね。ほんとに…。」
「…。」
いやでも、本人も謝ってるしいいんじゃないか…?
俺だって今はこの言葉を聞いて怒ってないのが事実なわけだし…。
「大丈夫だよ、!さぁ!帰ろう!!」
おいーー!!!!!俺!!!!
大丈夫じゃないのになんだよ大丈夫って!!!!
「ありがとう。やっぱり優斗くんって文字どおり優しいのね。じゃあ、帰ろっか、!」
ほら佐倉が調子に乗り始めた!!もう何も無かった様なふるまいだぞおい!!!女って恐ろしい!
「うん、そうだね。」
俺は帰ってからもずっとモヤモヤした気持ちだった。
そして自分も嫌いになった。女の子に怒ることさえ出来ない自分が嫌で嫌でしょうがなくなった。
今日の俺は泣き疲れて眠ってしまった。
「おはよう。」
「おはよう、佐倉。」
「あー!また苗字で呼んだ!ほんと懲りないのね!」
「あっ…ごめ…。」
「うーん。じゃあ今度は罰としてー、1週間!
私以外の女と話しちゃダメよ!」
「いや、それはちょ…」
「いい加減にしなさいよ!!!!!!」
びっくりした。
加藤が机をバンっと叩いて言ったようだった。
流石の佐倉…果歩ちゃんもびっくりして言い返せずに間が空いた。
「佐倉!あんたさ!佐藤が彼氏なんじゃないの!?」
「そうだけど…?」
「おかしいわよ!もっと…彼氏彼女って対等な物でしょ!?前のスマホとか色々全部含めてあんたが一方的すぎるのよ!!」
「…あら。結果的に一方的になってるだけで私は別に優斗くんに同じ事されたって構わないわ。」
「そういうことじゃないっつてんでしょ!」
そう言って加藤は手をあげようとした。
「また殴るの?まぁそしたら全員こっちの味方になるだけだし私はいいけど。」
「…っこいつ…!」
俺は泣きそうになった。なんかもう色んな感情が出てきて…。加藤が言ってることは俺が佐倉に言いたかったことだ。加藤は正しい。
でも、周りから見たら佐倉の方が優等生だし、加藤は佐倉を殴ったこともある。
どうやったって加藤が不利なんだ…。
そう思うと勝手に声が出た。自分でも驚いたよ。
「佐倉!俺は!加藤が今言ってることをずっと佐倉に言いたかった!!!」
「えっ…優斗く…」
「ずっと怖くて言えなかった、!
付き合ったのだって本当は俺の意思じゃない…。
ただ俺は佐倉が怖くて…」
「ねぇ加藤さん!?あなたのせいで優斗くんがこんな人になっちゃったじゃない!どうしてくれるのよ!!」
「それは違うよ佐倉!!これは俺の意思だ…。」
佐倉は泣いている。加藤は半泣き。俺も泣きそう。
こんな状態でも佐倉と加藤は睨み合う。
そして俺の言葉を最後にチャイムは鳴った。
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