第109話 迷宮都市テルミナ半壊
トルシェ発言のフラグが回収されるかの問題は、目の前の大きな建物が
もうもうと上がる
ゆっくりと粉塵が晴れて行き、現れたのは昨日の『黒炎のアグナ』によく似た全身鎧を着たいわゆる怪人だった。違っているのはホコリまみれで真っ白だというくらいだ。そいつの後ろには子分たちがほこりをかぶって白くなりながら例のごとく控えている。
俺自身も客観的に見れば相当な怪人だとは思うが、あくまで俺は主人公のつもりなので、相手のことを主観的に怪人といってもいいのだ!
『トルシェ、不幸な行き違いが二度と起こらないように対応を頼む』
『ダークンさん、きのうも言いましたが、相手も最初から殺す気でやってきていますから、不幸な行き違いはもう二度と起こりませんよ。安心してください』
それを安心と言っていいのかどうかはわからないが、現在進行形で、連中のモンスターは街中で暴れ回っているし、アズランはそいつらを殺しまくっている。よく考えれば話し合いの余地は、1ミリもないな。いや1ミクロンもない。微粒子レベルでも全然ない。
『殺し合いをするにせよ、相手の名前を聞いておいてくれるか?』
『了解しました』
「ところで、街の建物を勝手に壊しちゃったそこのおっさん。わたしたちと
「おまえが『黒炎のアグナ』をたおしたのか? チビすけ」
「あの黒いのをたおしたのは隣のダークンさんだよ。大男ちゃん。総身に知恵が回ればいいね。で、大男ちゃんの名前は? わたしは、トルシェ、トルシェ・ウェイストって言うの」
「われの名は『
ゆっくりと、右手を上げる『城塞のバグー』。
『トルシェ、俺の後ろに!』
俺がとっさにトルシェと『城塞のバグー』の間に割って入る。
ドーン!
えらい音と衝撃が俺を襲った、何もなければ後ろに吹き飛んだはずだが、コロがうまく触手を伸ばして俺の体を支えてくれた。ナイスだコロ!
感覚的には圧縮した空気の塊を撃ち込まれた感じだ。
今の衝撃でみぞおち部分を中心に直径30センチほどナイト・ストーカーが
「ほう、今の攻撃に耐えるか。『黒炎のアグナ』をたおしただけのことはあるようだな」
ここは、四天王最弱の『黒炎のアグナ』とか言ってくれよ。まあ、実際のところ、実力差がそんなになければ強い弱いは殺し合うしか確かめようもないし、仲間うちではそれもできないから、序列の付けようがないのはうなづける。
待てよ、俺が序列一位なのはどうしてだったっけ?
そうだそうだ。俺にはこの左手の支配の指輪という強い味方があったのだ。あの二人は『闇の眷属』として俺同様にわが主の眷属であると同時に俺の眷属だったのだ。大事なことを忘れるところだったぞ。
ん? 何か、後ろの方でバチバチいってる。トルシェが何かやるみたいだ。
「イッケー」
出たよ、これはトルシェの青色発光ファイヤー・ボール三連だ。
三つのドッジボール大の青い炎のボールが俺を
ドドドーーン!
青白い閃光とものすごい音がして、その後突風が吹きつけて来た。俺は何とかコロのおかげで立っていられたが、後ろを見るとトルシェは自分のファイヤー・ボールの突風でコロコロ後ろに転がって行った。そしたら今度は一度空気が薄くなった爆心地に向けて突風が吹き、トルシェがコロコロと転がってまたもとの位置に戻って来て、スクッと立ち上がった。
さきほど『城塞のバグー』だかに壊されたのは、大きな建物一つだけだったのだが、今の大爆発の影響で、周囲の建物の多くが
今の大爆発で『城塞のバグー』がたおれていればよかったのだが、ちゃんとそこに立っていた。爆発の威力でそれまでほこりをかぶって白茶けていた鎧もすっかりきれいになったようだ。ちなみに色は非常に暗いこげ茶色だったようだ。
『城塞のバグー』に対してはいまのトルシェの攻撃はヤツの鎧を掃除してやっただけだったが、後ろに控えていたヤツの子分たちはどこかに飛ばされたのか逃げたのか見えなくなってしまった。そういえばアズランはどこにいるのかな。俺の支配の指輪が光っていないところを見ると今の爆発でケガはしてないようだ。
「やるではないか」
余裕をこいてるな。ヤツの鎧か何かは魔法への防御力が異常に高いと見た。
それじゃあ、
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