第107話 ゴム人間
「ギョエー!」「ギャー!」
コロが全身に広がって俺を包み込んでくれた。その俺の姿を見たトルシェとアズランの悲鳴?が部屋にひびき渡った。
「ギャハハハー!」「ヒー!」
「ダ、ダークンさん。く苦しー。息が苦しー。眷属になって初めて苦しい思いをしましたー。ヒーヒッヒッヒ」
「私もです。フッフッハー、フッフッハー」
美少女二人の
『何がそんなに
「とにかく、ダークンさんの姿がきてるんです。手足の骨にぴっちりとコロちゃんが貼り付いて、でも、体と頭は
そうまで言われれば、自分でも確認しなくてはならない。確かに頭の位置から胸から下の方や、手足を見るとかなりの違和感があるのだが、そこまでトルシェたちが大笑いするほどか?
たしか風呂場の脱衣所の中の洗面台には鏡があったはず。確かめに行くしかない。
大笑いし続けている二人は放っておいて、風呂場に向かう。
脱衣所の中に入ると、床に衣服が投げ散らかしてある。妙に派手なパンツも脱ぎっぱなしで放り投げられている。置いてあったかごに一人分の衣服は簡単にたたまれて入っていた。この投げ散らかした服はどうもトルシェが着ていた服のようだ。まあいい、ここに出しておけば数時間後には
さて、俺とコロの姿が大笑いするほどおかしいのか?
うーん。
洗面台に取り付けられている鏡にわが身+コロの姿を眺めて出た言葉。
鏡に映っていたのは、パンストの代わりに黒ゴムを使った一種のパンスト
あの二人がコンちゃんなどを知る
コロ、また元に戻ってくれ。
シュルシュルとコロは元に戻って、いつでも口周辺に張り出せるよう胸の辺りに収まった。
なかなか思うようにはいかないが、何事も一歩一歩だ。
先ほどまで大笑いをしていた二人のところに戻って見ると、二人で皿を洗っていた。トルシェも少しはまともになったのかもしれない。まあ、マッパで皿を洗っている姿は、裸エプロンと違い、日本ではただの変人か
「あれ、もうあの格好はやめたんですか。インパクトだけはすごかったのに」
『インパクトだけはな』
「フフ、フフフフ、ギャハハーー。また思い出しちゃった。何だかこれから先、大変な場面であのダークンさんの姿を思い出しそうで怖い」
「トルシェもあんまり笑ってるとアゴが外れるよ」
「言わないでよ、アズランだって真っ赤な顔をしてるじゃない」
「これは鍛錬の成果なの。暗殺しようとしているとき笑いだしたら困るもの」
二人で俺を
そのうち、皿洗いも終わったようで、
「それじゃあ、ダークンさん、そろそろ休みます」「それじゃあ、私も」
二人がベッドに入ったようなので、俺は久しぶりのスーパーマッパ状態での骨音楽を楽しもうと壁に寄りかかって床に座り込んでみた。
ココココーン、ココココーン。
コロが胸のあたりにいるものだから、微妙に音がズレていつもの突き抜けるようないい音がでない。さらに、鎧を着ていない分、反響がないようで音楽的にレベルダウンしてしまった。これではつまらないので、骨音楽はやめてしまった。スーパーマッパ状態もここのところずっとナイト・ストーカーを着ていた関係で、ちょっと落ち着かない。
コロに発声状態になってもらい、その場に立ち上がって、
「
一瞬のうちに、ナイト・ストーカーに包まれた。一緒にガントレットもヘルメットも装着している。やっぱりこれだ。これこそ『闇の眷属』序列第1位、オブシディアン・スケルトン・ナイト、ウイッズ、鎧装ナイト・ストーカーのダークンだ!
そうだ!
今回はトルシェとアズランしか俺の
残念なことに、人前では『収納』、『装着』はできないが、なにかないか? カッコいいポーズは? まあ、芸能人ならこういったポーズはスタッフと一丸となって考えるものだし、うちのスタッフたちは大笑いをして寝てしまったし。
どうにも暇で間が持たないので、ちょっと黒スライムでもプッチして、黒い液でも集めてくるか。スポイトみたいなのがあればいいがどこにもないものな。俺の手ではすくえないし。なかなか世の中うまくいかない。
そうか! コロに俺の手の皮代わりになってもらえればいいか。何でも捕食できるコロならどんな毒でもそれにやられるようなことはないだろうからな。そうと決まれば、どこかにビンがなかったかな? 台所の棚に油の入っていたビンがあったはず。油はコロに食べさせて黒い液を集めに行こう。
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