第76話 三人団が行く4、新階層チェック球
なんとかアズランの鳥かごも見つけることができた。せっかく深くまで
いつものように俺が先頭に立ってギルドの中に入っていくと、またいつものように、ホールが静かになる。
とはいえ、俺も
『何かないか? この一番上に貼ってあるこれは何だ?』
「これは、
『なるほど、面白そうだが、どうやって、作った地図が正しいと証明するんだ?』
「地図が正しいかどうかを証明することはできませんが、下の層に下りたことを証明する魔道具があるんですよ」
『ほう。そんな便利な物があるのか。その魔道具はどこかに売ってるのかな?』
「ギルドの受付でBランク以上の冒険者に貸し出しているそうです。たしか金貨10枚の
『よくできてるな。そしたらさっそくその魔道具を借りようぜ。あと、ついでにできるような何かよさそうな依頼はないかな?』
「ダークンさん、これなんかどうでしょう?」
『アズラン、何かいいのを見つけたか?』
アズランが指さしたのは、掲示板の下の方に貼ってある依頼票。
『なになに、「迷いネコを探してください」。アズラン、発想は面白いが、おそらく「大迷宮」の中には迷いネコはいないんじゃないか?』
「あれ、そうですよね。そうでした」
なんだか、進化したからか、アズランの可愛い物大好きが止まらなくなった。
『それじゃあ、適当にモンスターをたおしていって、収納していこうぜ。そしたら、ギルドで鑑定してくれるだろ』
「さすがは、ダークンさん。
『まあな』
バカ話をしながら、窓口の列に並んでいたら、相変わらずのドウゾドウゾの連続で、すぐに俺たちの順番になった。
「マッピングの魔道具を貸してもらえますか? われわれこれから15層、それ以下も含めてチャレンジしようと思っていますので」
「いま、Aランクパーティー『
「そうですが、なにか問題でも?」
「いえ、失礼ですが皆さんはまだBランクですよね? 悪いことはいいませんからおやめなさい」
この受付嬢は俺たちのことをまるで知らないようだ。
トルシェが少し気が短いところがあるから、こういうところで、すぐ
「保証料さえ払えばいいんでしょ? 違いますか?」
後の方のことばはかなり低くなってすごみが出ている。すごみは出ているが残念なことに迫力はない。
『トルシェ、銀貨を1枚くれるか?』
「いいですけど、どうしました?」
受け取った銀貨を受付嬢の前で人差し指と親指だけでまん丸に丸めてやった。目をむく受付嬢。
「は、はい。ただいまお持ちします」
『トルシェ、押してもダメなら、もっと押す。これが
「勉強になりました!」「ありがとうございます!」
こうなるともはや、
奥から戻って来た受付嬢が持ってきたのは10センチくらいのピカピカに磨かれた銀色の
「これを持って『大迷宮』の15階層への下り階段を下りきったところで、この球の上下を持って、今は動きませんが、このように
「そのまま、16層に行ったらどうなるの?」
「そこでも、同じように捻っていただきますと、印が16に動きます。20層までこの魔道具は対応しています」
受付嬢はもはや諦めたのかちゃんと説明してくれた。
『それじゃあ、20層まで下りたら引き返そう。ちょうどいいくらいじゃないか?』
『ですね』
「了解しました。はい、保証料の金貨10枚」
「ここに、パーティー名をお書きください。……『三人団』?! あなたがたがあのふざけた名前のパーティーだったんですね!?」
「ええ? ふざけた名前?」
「いえ、失礼しました。それでは確かに金貨10枚受け取りました。保証料は魔道具の返却時にお返しします。魔道具の状態により、返還金額は差し引かれることもありますのでご注意ください」
「わかりました。ちなみに、21階層から下用の魔道具ってないの?」
「あいにく、私は
「そう。それじゃあ、これからもよろしくー」
「は、はい。これからもよろしくお願いします」
『それじゃあ、とっとと『大迷宮』にいこうぜ』
「あのう、20層まで行けばピクシーいるでしょうか?」
『いると思っていれば、きっといる。世の中そんなもんだ』
「そうですよね。ピクシーはいる。ピクシーはいる。ピクシーはいる。……」
俺たちは『新階層チェック球』をみごと借り受け、冒険者ギルドを後にした。別にみごとってほどではないか。
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