第46話 ドラゴンの目2
ゴーレムの
『出てきましたねー』
『だな』
『意外と早かったですね』
『だな』
俺はドラゴンの目を前にしてトルシェと二人、感想を語りあっている。実際探していたドラゴンの目が簡単に見つかってしまった。語り合ってると言っても、トルシェの感想が全てだ。
『それじゃあ、これを持って戻るか』
『そうしましょう』
ドラゴンの目を自分のリュックに入れ、来た道を戻っていく。
帰り道にはちゃんとムカデが湧いていて、トルシェの
実際かなり強くなっているから、経験値になっているのか。やっぱりステータスオープンとか言えばステータスが見えると便利だよな。
階段を見上げると、黒く
で、ここに全く一般人とは程遠いダーク・エルフが
体が軽いのは知っているから、もう少しゆっくり
『トルシェ、急いでも、急がなくても何も変わらないんだ。落ち着けよ』
『えー、ダークンさんはあのドラゴンの目が気にならないんですか?』
『気にはなるが、今言ったように、何も変わらないだろ』
『夢がないなー』
階段を上り終え、いつもの通路とは逆回りに回って『炎の巨人』をたおした広間に反対側からたどり着いた。
リュックからドラゴンの目を取り出し、広間のこちらから見て右手の壁、ドラゴンの顔が描かれている壁に近づいていくと、手に持ったドラゴンの目が明るく輝き始めた。そのドラゴンの目を本来の目のある位置に近づけると、そのまま手のひらから浮き上がった玉が、壁に吸い込まれて行った。
ゴゴ、ゴゴ、ゴゴ、ゴゴ、……。
腹のない俺にもわかるような重い音が響き、両目の揃ったドラゴンの顔の真ん中に縦に切れ目が入り、壁が左右に動いて、その先にあの謎タイマツで照らされた通路が現れた。
『ダークンさん、やりましたね』
『ああ、やったな。行くか』
『はい。きっと
『たしか、トルシェは、俺たちには
『いやだなー、それを言ってたのは、ダークンさんじゃないですか』
『あれ、そうだったかな? まあいい、何かすごいものがありそうだものな』
『行きましょう』
通路は幅が3メートルほどでまっすぐ続いていて突き当りは両開きの扉になっていた。さてどうやってその扉を開こうかと思って周りを調べようと近づいたら勝手に左右に開いてくれた。
入った先はさっきの広間の何倍もある四角い大広間で、ここでは謎タイマツではなく明るく白色の光を発する四角い板が高い天井に等間隔で何個もはめ込まれていた。まるで蛍光灯かLEDの照明のような明るさだ。だだっ広い部屋の真ん中には、あの鑑定石にそっくりな円柱状の石が突っ立ている。
『昼間みたいに明るいですね。
『魔道具か。俺には電気照明に見えるがこっちの世界じゃ魔道具なんだな』
『電気照明?』
『俺の
『見た目は鑑定石ですよね。何か試しに鑑定してみますか?』
『それじゃあ、ムカデの炭が
リュックからムカデの炭を取り出したところ、リュックの中で削られてしまったようでだいぶ小さくなっていた。リュックの中も炭で黒くなってしまっている。
毛布はリュックの外側に
いつものように鑑定石の上にその炭を置いて、ガントレットを外した手で例の模様を触った。
<鑑定石>
「鑑定結果:
名称:
種別:
特性:ダンジョン大ムカデの変異種が炭化したもの。非常に高火力」
微妙なものだが、この世界だと鍛冶かなんかに使えば役立ちそうだ。だが、これを大量に持ち歩くのはあまり効率がいいとは言えないな。これからも、積極的に拾う必要はないだろう。
『やはり、鑑定石だった。この炭は特殊炭とかいう名前で、火力がかなり高い
『それって、「幻のドワーフ
『さあ、鑑定ではそんなことは何も出てなかったぞ』
『そうですか。「ドワーフ炭」は同じ重さの銀と同じ価値があると言われている超高級炭なんですが残念ですね。ドワーフ炭でないと融かせない金属があるらしく、どこの鍛冶工房でも必死になって仕入れているそうですよ』
『そうなんだ。まあ、これがその「ドワーフ炭」じゃないだろう』
『鑑定でそう出ていないならそうなんでしょう』
[あとがき]
SF『銀河をこの手に! 改 -試製事象蓋然性演算装置X-PC17-』
https://kakuyomu.jp/works/16816700427625399167
よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます