第34話 オブシディアン・スケルトン
『よーし、それなら、行ってみよう。テルミナだったけ? さっそく行くぞ』
ということで、準備といえばトルシェの水袋だけ。それも今は水を入れ終わって準備万端。ダンジョンを
すぐに両手のガントレットを外して、鑑定石の上に右手を置き、左手で謎文字を触ってみた。
『注目の鑑定結果はぁ~!!』
<鑑定石>
「鑑定結果:
種族:オブシディアン・スケルトン
種族特性:非常に
次の進化先:
職業:ダーク・ナイト」
以前までの鑑定では、種族名しかわからなかったが、今回は進化したおかげか、いろいろ鑑定結果に情報が増えている。『次の進化先:
外したガントレットをはめながら、
『……と、いうことだった。トルシェも一応鑑定いっとくか?』
『それじゃあ、先っちょだけ、失礼して』
訳の分からないことを言いながら、トルシェが鑑定石の上に、右の人差し指の先をあて、左手で謎文字に触った。
<鑑定石>
「鑑定結果:
種族:ダーク・エルフ
種族特性:
次の進化先:△#✖・〇※□V%」
『……、こんな感じでした。進化先はあるようですが、何なのかはわたしには理解できませんでした』
『ふーん。やっぱり、魔法の適性が一気に上がってたんだな。闇落ちしたってところの表現が、何やら
『ダークンさん、鑑定石に怒ってもなんにもなりませんよ。それよりも、そろそろ上に行きましょう』
『そうだな。行くか』
鑑定石のある小部屋から出て、俺が最初に目覚めて拠点にした石室に出た。
『トルシェ、そこのゴミの山の脇に銀貨が何枚かあると思うんだが、街に出た時、お金は有った方が良いだろ? しまっておいてくれるか?』
『分かりました。……、
銀貨が12枚ほどありました。それじゃあ、わたしがしまっておきます』
そういったトルシェがどこからか小袋を取り出して、その中に銀貨を
そのあとは、いつものようにエクスキューショナーとリフレクターを持ち直し、上り階段に向かって、トルシェと連れ立って歩いて行った。
片手間にスライムをたおしながら、
『トルシェ、おまえの魔法について、少し聞きたいんだが?』
『なんです?』
『おまえの魔法は、手の先にいったんでき上がった魔法の塊を飛ばしてるだろ? 「ファイア・ボール」とか「ウォーター・ボール」なんだけどな』
『そうですね。いったん
『溜めるとき、どこまで手から離して溜められるものなんだ?』
『試したことないし、考えたこともありませんでした。いつも無意識に手の先に魔力を集めて、そこからバーンって感じで撃ってるだけなので』
『そうなんだ。もしも、相手の体の中にその魔力溜めを作ってバーンってできれば
『そんなこと考えもしませんでした。やっぱりダークンさんは
それでは
『トルシェ。そう思うんなら、俺がおまえの魔法のコーチをしてやるから特訓しよう』
『コーチって何です?』
『コーチが分からないか。コーチとは先生とか、指導する人のことだな。俺がおまえを指導してやろうと言ってるんだ』
『そうはいっても、ダークンさんは魔法使えませんよね』
『魔法が使える、使えないはコーチングになにも影響しないのだ。いいから俺のいう通りにして見ろ』
『はい、はい』
『返事は一度だ』
『はーい』
『トルシェ、まじめにしろよ。それじゃあ、まず、小さな火の玉を出してみろ』
『はい』
トルシェが広げた右手の手のひらの上にこぶし大の火の玉が現れた。火の玉の表面からトルシェの手のひらまでの距離はだいたい3センチくらいだ。これを何とか10メートルくらいまで伸ばしたい。しかし、「魔法が使える、使えないは関係ない」と勢いでトルシェには言ったものの、ノーアイディアだ。
『歩きながらでいいんだからな』立ち止まって、火の玉を出していたトルシェに注意した。さて、どう指導していくか?
『次はどうすればいいんですか?』
『とりあえず、その火の玉を出したり引っ込めたりしてろ。ところで、おまえはその火の玉が手のひらの上にあっても熱くないのか?』
『自分の出した火の玉で熱くなったらあぶないじゃないですか。誰だって自分の魔法で痛い目に会わないようになってるんです』
『どうやって?』
『「どうやって」って言われても、そういうものだっていうだけです』
『ふーん。まあ、とにかく、火の玉を出したり引っ込めたりしてろ、
俺の知識ではこうやって魔力操作の練習を続けていると、大抵はすごいことができるようになるんだがな。今は何か思いつくまで、適当なことを言ってトルシェに練習させておこう。
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