第11話 鑑定石
俺の相棒たちのすさまじい破壊力。特に
こん棒のリフレクターも手になじんで、非常に使いやすい。
とはいえ、すこし緊張したせいか精神的な疲れが出て来たような気がする。一度、拠点にしている石室に戻って一休みだ。
またぞろ通路に湧いていた黒スライムを駆除しながら、拠点に取って返した。
石室の中にスライムがいないことを確認するため、部屋の隅から隅まで注意深く目を向けたところ、石室の奥の壁に違和感がある。
いままで、そんな違和感を感じたことがなかったものが、急に感じ始めたものだから、左手に持ったリフレクターで
壁の中央辺りをたたいたときの反響音が明らかに他と違い軽い音が返ってくる。
壁の向こうは
ゴン。
そんな音とともに30センチくらいの孔が壁にあいた。そのまま孔の周りをリフレクターでたたき割り続け人一人くぐれる程度の
孔に入る前に中をのぞくと、中はかなり暗いのだが、苦になるほどではないようだ。
光源もないのにある程度周りを見ることができるのはおそらく魔物になってしまったことの特典なんだと思う。なにせ、ゾンビからのスケルトン。まさに闇の
さーて、行ってみるか。
床に置いておいたエクスキューショナーを拾い直して、孔をくぐった。
穴の先は幅の狭い通路がしばらく続き、その先に
『ᚨᛈᛈᚱᚨᛁᛋᚨᛚ ᛋᛏᛟᚾᛖ』
今までと同じで何が書いてあるのかわからないが、何かの意味があるのだろう。
右手に持ったエクスキューショナーをいったん円柱の上に置いて、指でその文字をなぞってみようと指が石柱にふれた瞬間、頭の中に無機質な声が聞こえて来た。
<鑑定石>
「鑑定結果:
名称:ソード・ブラック・エクスキューショナー
種別:片手剣
特性:クリティカル率アップ、特に首を狙った場合のクリティカル率は大幅アップする。命を奪うことにより強化される。自己修復」
き、きたー! 鑑定キター。
この剣やっぱりすごい。特に「命を奪うことにより強化される」の一節がダークで力強い。
うれしくて浮かれてしまったが、なんだか、少し疲れが出たか? 気力が落ちたような気がする。急にきたな。
次は、リフレクターだ。エクスキューショナーを手に持ち、リフレクターを円柱の上に置いて、文字に手をふれた。
<鑑定石>
「鑑定結果:
名称:ブラック・クラブ・リフレクター
種別:片手こん棒
特性:リフレクター自身が受けた物理攻撃、魔法攻撃をともに反射、現在反射率10%。命を奪うことにより強化される。自己修復」
あれれ? さっきよりも気力が落ちた? 何もする気が起きないし、立っているのもつらい。もしかして、鑑定すると俺の気力がごっそり持っていかれるのか?
とにかく、腰をおろして休もう。
鑑定石の前にどっかり腰をおろして座り込み、なえてしまった気力が回復するのを待つことにした。
なににせよ、鑑定結果は貴重な情報だ。そういえば、俺自身が鑑定できないか? 武器なんかよりそっちの鑑定の方が大切だった。今鑑定してしまうと、意識が飛んでしまいそうなので、しばらくこのまま座っていよう。
座りこんで気力の回復を待っているのだが、なかなか気力が回復した気がしてこない。
眠気はもとより襲ってこない体なのでこの小部屋が安全だったとしても仮眠もできない。仕方ないので、ブレストプレートを外し、ろっ骨で骨音楽を始めてみた。
ポン、ポン、ポ、ポポポポポーン♪
いい感じの音が出る。おお、なんだか、元気が出た? かな? もう一度、沖縄音階をば、
ポン、ポン、ポ、ポポポポポーン♪
再度、指でろっ骨をたたいて拍子をとってみたところ、明らかに気力がみなぎってきたことが分かる。
骨音楽で、気力が回復するみたいだ。やったぜー! これなら、鑑定し放題だ。
それでは、俺自身の鑑定、いってみます。
右手を円柱の上に置いて、左手で、謎文字をさわった。
<鑑定石>
「鑑定結果:
種族:スケルトン」
あれ、これだけ? えええ? こんなの最初から分かってるじゃないか。しかも、ごっそり気力が削られてしまった。ふーう。もう一度座り込んで骨音楽するとしよう。
……
かなり、時間がかかったが、数少ない持ち物の鑑定を済ますことができた。
<鑑定石>
「鑑定結果:
名称:スティンガー
種別:ダガーナイフ
特性:刺すことで、防御力を無視して
こいつはかなりエグいな。まさに
フッ、フフフフ! 闇の眷属にふさわしい武器ばかりじゃないか。
「鑑定結果:
名称:なし
種別:ブレストプレート
特性:特になし」
防具は大したことはなかった。
最後に鑑定しようとした左手薬指にはめた指輪だが、どうやっても指から抜くことができず、鑑定できなかった。こいつはやはり呪いの指輪に違いない。
いまのところ実害があるのかないのかもわからないのだが引っこ抜くことが出来ないのはRPG的に呪いの指輪と考えるのが
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