第9話 ちゃんと見透かせたかな……?
優はやめてくれた。
「俺、ちゃんと優の心、見透かせたかな……?」
「うん……ずっとずっと誰かに気づいてほしかったの。でも話すのは怖くて……。面白い坂本くんを見た時、この人なら怖くないってそう思ったの。だから坂本くんならって思って、あの言葉を言ったの」
「ありがとう。気づくの遅くてごめんな」
「ううん」
「優、触れてもいいか……? 怖いか……?」
「ううん、坂本くんなら、大丈夫、だと思う……」
俺はゆっくりと右の手のひらで、優の頬を触った。
俺の手の甲を優の涙が流れていった。
そして俺は優をこれでもかってくらい長く力強く抱き締めた。
果たして俺は、優の恐怖心を取り除くことができただろうか。
優は、俺の胸で泣き続けたのだった。
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