第5話 どういうことだ?

今日、優は体調が悪かったみたいで、朝の会から学校が終わるまでずっと姿を現さなかった。


トイレに行ってからかばんを残して帰ってきたクラスには数人の女子たちが群がってなにやら話していた。優の心配をしていた俺は保健室にお見舞いをしに行こうと考えて、教室を出ようとしていた。

保健室に近い、前のドアから出るため、女子たちの横を通っていく。


「園田さんのお母さん、殺されたらしいよ……」


(え……?)


俺は耳を疑った。


思わず、立ち止まる。そして、話していた女の子に詰め寄る。


「なあ! 今の話、本当か!?」

「あ、あ、坂本君、聞こえてた……?」

「ごめん、盗み聞きみたいなことして。だが、教えてほしい」


信じたくない。聞くのが怖い。だが、聞かなければ。


「今の話、本当か……?」

「う、うん、そうらしいの。私も聞いたんだけど……」

「どういうことだ?」

「な、なんか、園田さんのお母さんはお父さんに日頃から暴力受けてたらしくてそれで今朝殺されたらしいの……」

「け、今朝……。教えてくれてありがとう」

「う、うん」


衝撃なことを聞いて俺の頭の中はそれでいっぱいになった。


優が悲しい目をしていたのは、自分のお母さんがお父さんに日頃から暴力を受けていたからなのか? それを見ていたからなのか? そうなのか? 優。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る