第3話 ……私の心も見透かしてみてよ

「……え!?」


え、な、なんで知っているんだ!? ま、まさかあいつらが言ったのか?


「な、なんで知っているの?」

「見たら分かるよ」

「え? み、見たら……?」

「なんとなくそうかなって。いつも視線を感じていたし」

「バ、バレてたんだ」

「うん……」

「すごい、俺の心、見透かされているみたい」


確かに俺は、遠くからよく優のことを見つめていたが、あれ以来話したことはないし、優が俺のことを見ていたのも知らない。心を見透かされたように、この気持ちがバレているなんてっ!


(そうだ! いきなりと、勝手に優って呼んでたこと、謝らないと)


「あの、ごめんな? いきなり優って呼……」

「……私の心も見透かしてみてよ」

「え?」


いきなり、言われたその言葉に俺は戸惑った。


どういう意味だ? 理解ができない俺は何も言うことが出来ない。


「あの……」


意味を聞こうと声をかけたのと同時にチャイムが鳴って、俺の言葉を遮った。


「なーんてね。チャイム鳴ったし終わろ」

「あ、う、うん」



ほうきをなおして俺たちはクラスに戻った。だが、俺の心の中にはぐるぐると渦が巻いていた。

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