無幻都市

電咲響子

第1話

「ねえ。お兄さん、遊んで遊んで」


 つくづく鬱陶しいガキだ。俺はてめえの保護者じゃないんだ。


「あのな。俺は安い安い給料でこき使われている身だ。雇い主がうるせえから最低限の面倒は見てやる。だがな」


 俺はクソガキに向かって吐き捨てた。


「それ以上を求めるならもっとカネ寄越せ。ま、ガキのお前にゃ」

「はい。どうぞ」


 どこから取り出したのか、ガキの手には札束が握られていた。


「……ふん。いいだろう。で、何して遊ぶ?」

「殺人ごっこ」


――――――――


 これだから金持ちは嫌いなんだ。


 血反吐を撒き散らし、俺は心の中で毒づく。横たわった俺の前で、銃を持った子供が笑顔で佇んでいる。


「楽しかったよ。お兄さん」

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